ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
フィジーってどんな国?
フィジーは、南太平洋の中央部に位置する大小332の島々からで構成される国で、オセアニアのメラネシアに分類されます。
フィジー系住民がほぼ6割、インド系住民がほぼ4割を占めます。フィジー系住民にキリスト教信者が多いのに対して、インド系住民にはヒンドゥー教信者が多くなります。このようにインド系住民が多いのは、1874年にイギリスの植民地となり、サトウキビのプランテーションの労働者として、多数のインド人が移住してきたことによります。
1970年に独立しましたが、フィジー系住民を優遇する政策をとる政権から、経済を支配するインド系住民との融和を目指す政権に交代すると、それに反発するフィジー系の軍隊がクーデターを起こすということが繰り返されています。
オーストラリアやニュージーランド及び南太平洋諸国との関係を重視しますが、2006年の軍によるクーデターで、オーストラリアやニュージーランドとの関係が冷え、さらには民主化のプロセスが進んでいないとし、2009年には英連邦としての資格を停止されると(2014年に再加盟)、代わって中国、ロシア、ASEANとの関係を重視するようになりました。
サトウキビが原料の砂糖は輸出も多くフィジー経済を支える重要な生産物でしたが、機械の老朽化などの課題が出ています。美しい海を資源とした観光業が経済の基盤となっています。
フィジー共和国
面積:1.8万km2 首都:スバ
人口:94.0万 通貨:フィジー・ドル
言語:英語(公用語)、フィジー語(公用語)、ヒンディー語(公用語)
宗教:プロテスタント45%、ヒンドゥー教27.9%、カトリック9.1%
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)