ところが、私たちの中には、予期のメンタルモデルに現実味を感じにくい人が存在します。このタイプの人たちは、予期のメンタルモデルを自分ごととしてとらえることが苦手で、「来月の予定は他人ごとのように思える」や「1年後の自分など別人としか思えない」と感じやすいのです。
これは「時間的分離」と呼ばれる現象で、人によっては数時間後の自分にすら現実感を抱きにくい人もいます。予期のリアリティに個体差が生まれる理由はよくわかっておらず、脳内に分泌される神経伝達物質の量や、生まれつきの性格が原因とする説もありますが、明確な答えはまだありません。
このような状態が、パフォーマンスの低下につながるのは当然でしょう。明日の予定を自分ごととしてとらえられなければ危機感は生まれませんし、そもそも時間をうまく使おうとすら思わないはずです。
しかし、ここでカレンダーを使うと、ある程度まで事態を緩和できます。「15時から企画書の作成を行う」や「2カ月後に昇級試験」などと予定を書き込んでおけば、予期のメンタルモデルがクリアになり、多少なりとも将来の行動に現実感を持てるからです。
カレンダーのメリットといえば「作業に必要な時間を見積もれる」や「予定を忘れずに済む」などの理由が浮かびますが、本当に重要なのは「予期の現実味を増す」機能です。逆に言えば、あなたが「予期の現実感が濃い人」だった場合は、カレンダーに綿密なスケジューリングをしても効きづらいかもしれません。
なぜToDoリストが効く人と効かない人がいるのか?
次は「ToDoリスト」について考えてみましょう。周知のとおり、その日にやるべきタスクをすべて書き出して上から順にこなすテクニックのことです。その効果については序章で見たとおりで、他の手法と同じく知名度のわりにさほどの成果は確認されておらず、特定の人にだけ生産性の向上が認められています。
それでは、ToDoリストで生産性が上がる人とはどのような人でしょうか?
この点については、社会心理学者のロイ・バウマイスターが、おもしろい指摘をしています。いわくToDoリストの効果を得る人は、目標が達成されないことによる認知の悪影響が減っているというのです。いったいどういうことでしょうか?







