住宅ローンは今後も「変動金利のまま様子見」でいいと考える理由Photo:PIXTA

日本銀行が金融緩和策を修正する方針を打ち出したことで、長期金利が上昇し、住宅ローンの長期金利も上がっている。だが、変動金利は今も0.4%台の低水準のままだ。住宅ローン控除制度で戻ってくる税金がローン残高の0.7%であることを考えると、変動金利は借りた方が「逆ザヤ」で得になる状況だといえる。そのため変動金利を選んでいる人は、過剰に心配せず、情勢を見守った方がいいだろう。今注目すべきことは、目先の金利の動きではなく「日銀総裁人事」だといっても過言ではない。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

日銀が金融緩和策を修正し
住宅ローンの固定金利がわずかに上昇

 日本銀行が2022年末、金融緩和策を修正する方針を打ち出した。これに伴って、年明け以降の債券市場では、長期金利が0.5%を上回る場面が何度か見られた。

 この水準まで長期金利が上昇するのは約7年半ぶりである。そして足元では、これに準じて長期固定の住宅ローン金利も0.1%前後上昇している。

 日銀による利上げは、故・安倍晋三元首相が打ち出したアベノミクスの「金融緩和」の終焉のようにも思える。

「持ち家」が欲しい一般消費者にとって、金利の先高観が出始めている現在は、不動産を買いにくい時期だろう。

 だが、今回の金利上昇は長期金利に限定されている。住宅ローンでも10年以上固定の長期金利は上がったが、短期の変動金利は変わっていない。

 このように、一口に金利といっても、長期金利と短期金利は別の動きをする。