日本には四季があります。四季をさらに六つに分けたものが「二十四節気」です。先人たちは二十四の季節を味わい楽しむことで、豊かな暮らしを育んできました。今、このような日本古来の生活様式が再評価されつつあります。季節の流れに合わせて生活し食を摂ることが、心と体の最高の養生法なのです。この二十四の各季節の過ごし方をていねいに紹介し、話題になっている本が『二十四節気に合わせ心と体を美しく整える』です。
同書のなかより今回は「立春」の時期に注意すべことや、摂るべき食について紹介します。旧暦の新年にあたるこの時期には、まず心も体もリフレッシュすることが大切です。体には冬の影響が残りやすいので、体を暖めデトックスに努めましょう。立春の時期における食のポイントになるのは苦味と酸味。これらをうまく日々の食事に採りいれましょう。

立春の時期に食べたい食材は、ニラ、卵、ふきのとう、梅Photo: Adobe Stock

立春の時期に注意すべきこと

 この季節は、目の病に気をつけてください。目に違和感を感じたときは、早寝・遅起きを心がけましょう。そして、目の周りの筋肉をリラックスさせるため軽くマッサージしたり、アイマスクを用いるなど、出来るだけ目を休養させましょう。

 立春の間に体の不調を感じたら、冬の生活習慣に戻ってみるのも一つの方法です。冷えを改善してゆっくり休む、精がつくような鍋物を食べる、といった過ごし方を試してみましょう。

 この時期はまだ寒い日も多く、冬の影響が残ります。リンパの流れにも注意すべき時期です。耳の周りや首、脇や足の付け根をこすったり、もんだりしてみましょう。フェイシャルマッサージも顔のコリをとり、流れをよくするデトックス効果があります。リンパの流れがスムーズになれば、ストレスも流れていってしまうものです。

 また、嫌な場所、人、環境はできるだけ避けて、心を平穏に保つことも大切です。緑の中で小川のせせらぎや鳥の鳴き声を聴いたり、好きな香りやアロマで癒されたりしてください。実際にその場に行かなくても、自分が一番落ち着ける場所を頭に描くだけでも充分にリラックス効果があります。

 漢方薬では「加味逍遙散(かみしょうようさん)」がよいでしょう。肩こり、神経症状、便秘、冷え性、虚弱体質、更年期障害、気血不足の症状、精神安定などに効果があります。基本的には女性に有効な漢方薬ですが、立春の時期であれば男女ともに効果的です。

立春の時期に心と体を整える食べ物

 ニラはこの季節に特に有効な食材で、デトックスとリラックスの効能があります。温性で辛味があり、陽気を補う作用があるので、冷え性や血の巡りの悪い人に特によいのです。腫れ物や充血、不眠症にも効果があります。

 鶏の卵もこの時期によい食材です。ですからニラ玉は、春のストレス改善に抜群に効果のある料理なのです。ニラは冬から春にかけて葉が厚くてやわらかくなり、最も食べ頃になります。

 ふきのとうは、春一番の食材です。その苦味は心臓によく、めきめき血の巡りをよくしてくれます。春の目覚めの強心作用と夏の心筋梗塞や狭心症の予防になります。春の山菜はどれも苦味がありますが、加齢とともに弱った心臓を丈夫にするには苦味が必要なのです。調理法としては天ぷらも美味しいですし、油いためや、ゆでてすりつぶし、味噌やみりんで味付けした蕗味噌(ふきみそ)もよいでしょう。

 梅は春を代表する花で、酸味のある梅干しはクエン酸が多く滋養にもよく疲れをとります。毎日1個摂るくらいでもよいでしょう。また胃腸や呼吸器を丈夫にする効果もあります。青梅を塩漬けや赤しそに漬けたものを梅漬けと言い、さらに日干しにすれば梅干しになります。梅には殺菌、汗止めの効果があります。種を取って煮詰めた梅肉エキスはひどい下痢にも効果的です。下痢には漢方薬より梅肉エキスのほうがよく効くのです。

 以上を参考にしっかり体を整え、正しい食事を摂って立春を過ごしてください。

 次回は「雨水」の時期の心と体の整え方を紹介します。