状況を好転させ、老後破綻せずに暮らす
一番の秘けつは「収入アップ」
この状況を少しでも好転させるためには、お子さんに奨学金の相談をすることもありますが、家計の支出を圧縮しつつ、収入をアップすることが近道です。支出の削減には限界があります。それをカバーするために、働けるうちにしっかりと、かつ、できるだけ長く働く。これが、老後資金が十分ではない人が老後破綻せずに暮らす秘けつだと思います。
夫は副業などできるゆとりはないようです。収入アップを図るのなら、妻であるFさんのパートを増やす等、働き方を変えることが必要です。
そう伝えても、Fさんは「106万円の壁」を気にして、仕事を増やすことをためらっています。今もギリギリの収入になるよう調整し「夫の扶養内」をキープしています。今より収入が増えると、税金や社会保障費が天引きされ、手取りが減るので、それが嫌なのだそうです。もしかすると、働く時間が増え、時間の使い方などが今までと異なってしまうことが不安なのかもしれません。
しかし、社会保障費を支払うことを「良くない」と考えるのは間違いです。社会保険に加入して保険料を負担することは、将来の年金が増えることを意味しますし、雇用保険に入れば万が一の時に失業給付の対象になります。家庭からだけではなく、社会的にしっかり保障されるということなのです。
一番下の子どもが大学受験ともなれば、そろそろ子育ても最終段階、親の手もそれほどかからなくなっているはずです。子どもにお金をかけてお金がなくなったのなら、これから挽回するように行動しなくては、老後破綻してしまいます。支出削減はもちろんですが、収入アップに取り組むことは、Fさんご夫婦の老後を守ること。年を重ねてから後悔することがないように、よく検討してほしいと思います。収入が増え、家計が黒字になり、少しでも積立投資ができるようになれば、10年後、15年後に、今よりも明るい将来が見えてくるのではないでしょうか。