夫が収入の柱で、妻は扶養の範囲内でパート勤め。教育費をかけて子どもたちを育て、50代後半になって家計を見直してみると、老後資金がない。老後どころか、現在の家計も慢性的に赤字状態……。この状況を脱するためには、いくつか手段があります。(家計再生コンサルタント 横山光昭)
共働き世帯は増えているが……
「夫の扶養」という言葉の落とし穴
共働き世帯が増え、専業主婦世帯は減っています。厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」によると、共働き世帯は2019年に66.2%を占めるまでになっています。妻の働き方は正社員ばかりではなく、パートで働く主婦は特に増えており、家計を支えています。
結婚前から夫婦でバリバリ働き、それぞれ税金を収め、社会保障にも加入し……と、互いに社会的に独立している個人が結婚した夫婦の家計相談は増えていますが、一方で、夫を家計収入の軸とし、妻はそのサポート的に扶養の範囲内で働くというスタイルの方ももちろんたくさんいらっしゃいます。
「夫の扶養」という言葉は善し悪しで、「働くこと」にブレーキをかけさせる呪文のようになり、ある程度以上の収入を得ることを望まなくなるケースもしばしば。相談に乗っていて「働ける状況が整っている人に、この状況はベターなのか?」と疑問を感じることもあります。家計の収入に問題がなく、将来の見通しが立つのならそれも良いのかもしれません。ただ、現状でお金が不足している人、老後を不安視している人までブレーキをかけてしまうのは、違うと思います。今の働きやすい社会を活用してほしいのです。