半導体製造装置の対中輸出規制は日本にとって良い?悪い?日本企業がやるべきことは半導体製造装置の対中輸出規制は、日本にどんな影響を及ぼすのか(写真はイメージです) Photo:123RF

半導体製造装置の対中輸出規制は、日本にどんな影響を及ぼすのか。今後、わが国の半導体製造装置メーカーに求められるのは、他国の企業に先駆けて、新しい製造技術を創出することだ。その成否は、わが国経済の展開に大きな影響を及ぼすだろう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

半導体サプライチェーンの地殻変動が激化

 ここへ来て、米国は中国の半導体製造能力向上を食い止めるため、輸出規制を一段と強化している。その一つとして、1月下旬、わが国とオランダは半導体製造装置の輸出規制に関して米国と合意したと報じられた。半導体などの先端分野において、米国は対中制裁をさらに強化する可能性が高い。

 今後、台湾から米国、わが国、その他の国と地域へ、半導体サプライチェーンの地殻変動が一段と激化するだろう。米国だけでなく主要先進国が半導体などにおける対中規制を追加的に引き締める公算も大きい。それは短期的というよりも、中長期的な世界経済の構造変化と考えたほうがよさそうだ。

 それに伴い、わが国の半導体関連企業にとって、中国ビジネスに関する不確定要素が増える。一方、これまで以上に世界の半導体産業は、わが国の製造技術を必要とするだろう。世界の半導体産業の劇的な変化に対応するために、わが国企業はこれまで以上に最先端の製造技術の実現に取り組むべきだ。