日本の「次世代半導体連合」に台湾が必要不可欠な理由ビヨンド2ナノに向けて、日本が台湾から学ぶべきことは多い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「ビヨンド2ナノ」に向けた
ラピダス設立に感じる課題

 ビヨンド2ナノ(回路幅が2ナノクラスの次世代半導体)に向けて、台湾への半導体投資というプランBが必要なのではないか。

 先日、トヨタ自動車やNTTなどが立ち上げたラピダス(Rapidus)は、国産半導体復興を目指した共同出資企業だ。ただ、ラピダスは規模を追わずに小規模で最先端半導体の開発をするという。しかし、技術開発は固定費であるし、半導体製造は巨大な装置産業であって、規模の経済性が重要な産業だ。どちらも大量に生産し、販売した方が、次の投資がしやすくなる。

 とかく日本人は「いたずらに規模を追わず、技術で勝負する」「金儲けだけが目的ではない」ということを言いがちだが、経営学的に見れば、こんな危うい発言はない。言い換えれば、「入ってくるお金や資源は少ないが、日本人は優秀なので気合いで頑張れる」といった精神論にしか聞こえない。

 20世紀のような、変動費の要素が大きいエレクトロニクス製品などの開発においては、数を追わない製品差別化戦略は可能であったと思う。しかし、様々なエレクトロニクス産業の製品がデジタル化し、ソフトウエアと半導体で構成されるようになると、固定費の要素が大半になるので、数を一番多く作ったところが総取りになるような競争が多く見られる。

 MIT流の技術経営の考え方に、イノベーションとは新たな価値を産み出す価値創造のプロセスと、産み出した価値からしっかり収益を獲得する価値獲得のプロセスからなる、という考え方がある。価値創造は専ら開発の仕事であるが、価値獲得には製造、標準化、マーケティング、販売、PRなど様々な手段で自社の収益化に結びつけるあの手この手のアイデアが必要となる。日本は価値創造が得意だが、価値獲得が苦手な企業があまりに多い。

 液晶パネル、太陽光パネル、NAND型フラッシュメモリ、最近でいえば日本のノーベル賞受賞技術であるリチウムイオン電池など、日本が価値創造に大きく貢献をしながら、価値獲得はよりビジネスの上手い諸外国企業に獲られているという状況が続いている。