SKハイニックスPhoto:123RF

韓国の半導体メーカー・SKハイニックスの業績が、サムスン電子に続いて急速に悪化している。対照的に、米国ではアナログ半導体メーカーの業績は底堅い。この違いは何か。世界の半導体競争の最新事情を解説する。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

サムスン電子に続きSKハイニックスも急降下

 2月1日、韓国の半導体メモリ大手、SKハイニックスが2022年10~12月期の決算を発表した。DRAMなどの価格下落によって、営業損益は赤字に陥った。1月末に決算を発表したサムスン電子も、半導体メモリ市況の悪化などによって業績が急降下。アジア通貨危機以降、半導体メモリ輸出などによって成長を実現した韓国経済の先行き不安は高まりつつある。

 対照的に、米国ではアナログ半導体の世界トップ企業であるテキサス・インスツルメンツの業績が底堅く推移している。テキサス・インスツルメンツは車載用半導体の需要増に対応するため、市況悪化リスクを警戒しつつも基本的には設備投資を積み増している。

 一方、半導体メモリ分野に集中してきたSKハイニックスは、設備投資の積み増しが一段と難しくなっている。加えて、近年の積極的なM&Aが、SKハイニックスの事業運営を阻害する要因になりかねない。半導体など先端分野での米中対立の先鋭化もリスク要因だ。SKハイニックスの業績懸念は高まり、韓国経済への負の影響も増えるだろう。