人材投資、大学進学の費用は
誰がどのように負担すべきか
経済停滞が続く中で人材投資の重要性が叫ばれ、高等教育機関進学者向けの給付奨学金が2020年度に新設された。この奨学金はすでに30万人以上の若者が利用し、所得制限を緩和して対象者をさらに増やす案が議論されている。
また、2024年に大学院生向けに出世払い型の奨学金を新設することが決まり、それを学部生に広げる案も浮上している。
社会保障給付などで高齢者を優先しがちだった政府が若者支援に積極的になったことを評価する声は多い。
しかし本当にそう考えてよいだろうか。
経済的な理由で進学を断念する若者を減らすことは大切だが、それは進学することが望ましい場合の話だ。進学支援を拡充する前に今の高等教育機関が人材開発機能を十分に発揮しているかどうかを点検する必要がある。