夢や目標を実現できる人、できない人の差はどこにあるのか? その答えは、「習慣化」にある。『成功者がしている100の習慣』(ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳)は、長年のコーチング経験を通して著者が見つけた、「成功者たちに共通する習慣」をまとめた話題の1冊だ。本書には、あらゆる人が実践できるアイデアだけが紹介されている。だが、そのすべてを行う必要はなく、自分に適したものを選んで行動に移すだけでOKだ。「成功しない人は成功者の真似をしない」と著者は言う。うまくいっている人の真似をすることが成功への第一歩になるのだ。(構成:瀬田かおる)

【「キレやすい」だけで人生損をする】「感情的にならない」ために成功者たちが心がけていることPhoto: Adobe Stock

窮地に立たされた時にどう振る舞うか

 忙しいと不機嫌になる。失敗したことの責任を他人になすりつける。このように自分の感情のおもむくままに振る舞っていないだろうか。

 心穏やかな時に良い人として振る舞うのは簡単だ。誰にでもできる。しかし、窮地に立たされたときこそ、その人の本質が表れてくるものだ。

「本当の成功」を手に入れるためには、いかなるときも自分の感情をコントロールできることが大切になってくる。感情的になってから後悔しても遅いのだ。

 忙しい時には無理せず人に頼る、自分の失敗だと認めたうえで迅速な対応をし、二度と同じ失敗をしないように対策を打つ。

 このように、窮地に立たされたときに良い行動をとれることが、本当の成功を手にするために大切になってくる。

 しかしこれは、一朝一夕でできるものではない。窮地に立たされても良い行動が行えるには、心の知能指数(EQ)を高め、あらゆることから学びを得ようとする姿勢でいる習慣が必要となってくる。

相手の立場になって考える

 相手の立場で物事を考えることは一見難しいことのように思えるが、ほんの些細なことから実践することが可能だ。

 例えば、メールを送る際には相手がパッと見て要件が分かるように箇条書きにするとか、返信が欲しい場合にはメールの件名にカッコ書きで要返信と書いておく。

 これらは、相手の大切な時間を奪うことを避けられる。また相手を理解しようと努めることで、何が相手のために必要なのかが分かってくるはずだ。

 このことは、感情的になって思わぬ行動をとり、失敗することを防ぐことにもつながる。

 相手の立場で物事を考えることで、間を置いて冷静に対処できるので相手に安心感を与えることができる。

 やがてそれは自分の心も穏やかになり、本当の成功を引き寄せるチャンスが増えるというわけだ。

 本書では、詩人マヤ・アンジェロウの言葉が紹介されている。

人はあなたが言ったことを忘れる。あなたがしたことも忘れる。でも、あなたについてどう感じたかは決して忘れない(p.412)

 人に何をしてもらったかは忘れてしまっても「あの人は○○な人だ」といったイメージは残る。その「○○」にプラスの言葉が入るような行いをしたいものだ。

「日常からを学び」を大切にする

 学校に通ったり、本を読むことだけが学びではない。日常生活のあらゆるシーンや、テレビ番組、小さな子どもからも学びを得ることができる。

 そしてどんな場面や体験からでも学びを得るためには、「謙虚な姿勢」が必要だ。

 分からないことがあれば、年下に対してであろうと素直に教えて欲しいと言えるだろうか。

 どんな立場にあっても、年齢を重ねても、自分にはまだまだ知らないことばかりだと謙虚な心を持って接することが大切だ。

 そして何といっても一番学びを得ることができるのは、失敗や苦しみを乗り越えた時だ。

 失敗や苦しみの渦中にいるときは苦しくて逃げ出したくなるだろう。

 しかし、どうにかしてその難局に対処しているとき、誰かがそっと手を差し伸べてくれた時に本当の優しさを知ることができるし、歯を食いしばってその苦しみを乗り越えた時には、自分に自信がついていることに気づくはずだ。

 著者は本書の中で「人生は大学だ」と書いている。本当にその通りだ。

 日常生活を送っていると実にあらゆる場面に遭遇する。だからこそ、些細なことからも学びを得られるように、素直な心でいることが大切なのだ。

 また、せっかく得られた学びを忘れないために、今日一日どんな学びがあったのかを、日記に書き出してみよう。書きためたものを見返したとき、新たなアイデアが生まれるチャンスにもなるのだ。

 そう考えると、最悪の体験も「学びのチャンス」とプラスにとらえることができる。なにしろ、最悪の体験ほど多くのことを学べるし、ひいては成功のチャンスになるのだから。

学びをやめるのは、死の始まりだ。――アルベルト・アインシュタイン(P.51)