夢や目標を実現できる人、できない人の差はどこにあるのか? その答えは、「習慣化」にある。『成功者がしている100の習慣』(ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳)は、長年のコーチング経験を通して著者が見つけた、「成功者たちに共通する習慣」をまとめた話題の1冊だ。本書には、あらゆる人が実践できるアイデアだけが紹介されている。だが、そのすべてを行う必要はなく、自分に適したものを選んで行動に移すだけでOKだ。「成功しない人は成功者の真似をしない」と著者は言う。うまくいっている人の真似をすることが成功への第一歩になるのだ。(構成:瀬田かおる)

「人生が上手くいく人、いかない人」の決定的な差、<br />上手くいかない人がやっている「思い込み」とは?Photo: Adobe Stock

あなたの知っている「あなた」はまだ氷山の一角

 あなたは自分のことをどんな人間だと思っているだろうか。

「ここぞというときに尻込みしてしまう弱い人間」「大した強みのない平凡な人間」など、どうしても自分のことになると辛口の評価をしてしまいがちだ。

 しかし、本当にそうだろうか。人は生きている限り、間違いなく昨日とは違う今日を生きているのだ。

 日々の小さな出来事に対して思考したことが積み重なり、今の自分があるのだから、変わらないはずはない。

 自分はこういう人間だという思い込みは「古い情報をもとにしたイメージ」に過ぎない。あなたはあなたが思っている以上に、日々進化している。

 そう考えれば、今の自分は本来持っている能力のほんの一部分(氷山の一角)しか使っていないとも言えるだろう。

 ではどうやって、まだ使っていない残りの氷山を掘り起こすことができるのだろうか。

あなたが気づいていない自分自身の特徴も、他人にははっきりと見えている。それを知ることには、とても大きな価値がある(P.149)

まずは現状を知るところから始めてみる

 見えていない氷山を掘り起こす前にすべきことは、今の自分を知ることである。

 なんとなく自分はこういう人間だと決めつけていたかもしれないが、一度じっくり時間をとり、自分を見つめ直してみよう。

 まずは、ノートを1冊準備してもらいたい。このノートは誰に見せるものでもない。だから何を書いても構わない。

 人に見せられない自分を書いてもいいノートだ。このノートに、これまでの自分を振り返り、自分は自分のことをどんな人間だと思っているのか、思いつくままに書いてみよう。

 とはいえ、これまでの自分を振り返ることは、なかなか勇気がいることだ。みっともないこともあっただろうし、何も成し遂げられていないことに気づくかも知れない。

 だからといって、恐れる必要はない。「どんな自分」であっても自分という人間を知るところから始めてみよう。

成功する人は「見えない自分」を意識し、成功しない人は「自分のことはわかっている」と思い込んでいる(p.148)

今の自分をどう変えていけるか考えてみる

 今の自分を見つめ直したら、ノートを読み返してみてほしい。

 そして、充実した人生を過ごすために、「見つめ直した今の自分」をベースにして次のことを考えてみよう。ちなみに、この作業のことを本書では「自分会議」と称している。

 ・やめるべき思考や行動、態度は何か?
 ・始めるべき思考や行動、態度は何か?
 ・何をすれば、自分に大きな変化を起こせるか?

 こうして書き出したノートは、今の自分を変え、成功するための大切な1冊となる。

 しかし、今の自分を変え、隠れていた氷山を見つけ出し成功へ向かって行動していると、ふと、この方向で間違いないのだろうか。もっと違う道があるのではないか。などと迷子になることもある。

 もしそんな思いに駆られたとしても、慌てることはない。人は休むことなくエンドレスで走ることは不可能である。不安な気持ちのまま進んだとしても、さらに迷子になるだけだ。

 だから、今進んでいる方向に迷いや不安が生じたときは、思い切って歩みを止めてみよう。著者はこう言っている。

人生の道に迷っても問題はありません。それは心が、「次に何をするのか」を決定するために情報を集めようと、立ち止まっているだけなのです(p.383)

 だから安心して歩みを一旦止め、何に不安を感じているのかを書き出してみる。そして次に行動したくなるまで身も心も休息することがとても大切だ。

 休息を終え、また行動したくなったときには、栄養が補給され歩を再開することができる。

 これは、停止ではなく「一時停止」なのだから。