写真:柏崎刈羽原子力発電所の内部東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の内部(2014年2月撮影) Photo by Takahisa Suzuki

今、日本が瀕しているエネルギー危機を救うのは、原子力発電所の再稼働だというのが筆者の持論だ。東京電力福島第1原発の事故のことを思うと安全性に不安を持つ人もいるだろう。しかし、発電方法別の死者数に関する統計データを見ると、原子力は火力よりもはるかに安全で、再生可能エネルギーと同等以上の安全性を有することが分かる。(イトモス研究所所長 小倉健一)

知人の酪農家は牛舎の電気料金が
月100万円から150万円に

 電気・ガス料金が値上がりし、高止まりしている。電気・ガスを節約していたつもりなのに、電力会社やガス会社から高額な請求が来たというのは、筆者だけではないだろう。

 私の知り合いの酪農家は、1カ月100万円ほどだった牛舎の電気料金が、今では150万円にまで値上がりしたという。「このまま値上がりすれば廃業危機だ」と悲しそうに話していた。

 この酪農家が利用していた「新電力/自由料金」が先行して料金が上昇する中で、上限で抑えられていた規制料金も値上げ申請されることになった。東京電力は1月23日、家庭向け電力(規制料金)について平均で29.31%の値上げを経済産業省に申請した。この申請は、今年6月からの電気料金に反映される見込みで、今年の夏は、クーラー代の節約を迫られる酷暑との闘いが予想されている。

 東北、北陸、中国、四国、沖縄の各電力会社も値上げを申請していて、北陸電力は驚愕(きょうがく)の平均45.84%の値上げだ。この4月から反映される予定で、家計への打撃は計り知れないものになりそうだ。

 このような値上げに動いた電力会社がある一方で、関西電力や九州電力など、申請をしなかった電力会社がある。その2社に共通するのは、原子力発電所が稼働していることだ。今回は、日本も世界も直面しているエネルギー問題について解説したい。