東京電力ホールディングスが規制料金と呼ばれる家庭向け電気料金の値上げを国に申請した。6月からの新料金の適用を目指す。同時に経営見通しや小売子会社へ2度目の増資を発表したが、その中で示した「三つの数字」に崖っぷちの“ギリギリ感”が漂う。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

国内最大手の東電も
6社目の規制料金値上げ

会見で厳しい表情を見せた東京電力ホールディングスの小早川智明社長会見で厳しい表情を見せた東京電力ホールディングスの小早川智明社長 Photo:JIJI

 東京電力ホールディングス(東電HD)が1月23日、規制料金と呼ばれる家庭向け電気料金の値上げを国に申請した。今後国の審査を経て認可されれば、同社は6月の値上げ実施を予定している。

 歴史的な燃料価格の高騰で、大手電力各社は販売価格が調達コストを下回る逆ざや状態が常態化。調達コストを価格に反映するため、規制料金の値上げを5社(東北、北陸、中国、四国、沖縄の各電力会社)が既に申請し、東電HDは6社目となった。26日には北海道電力も続いた。

 福島原発事故やその後の事実上の国有化を経て業界におけるポジションは“序列外”となったが、東電HDは依然、国内最大手。規制料金は契約数で約1550万口もある。

 業界関係者が注目していた平均値上げ率は29.31%だった。

 他にも東電を巡って注目されていた二つの数字がある。それが、柏崎刈羽原子力発電所7号機の再稼働想定時期と小売子会社である東京電力エナジーパートナー(東電EP)の再増資額だ。前者が「今年10月」、後者が「3000億円」だった。

 いずれの数字にも「官僚以上に官僚的」とやゆされてきた“優等生”の東電HDらしさが漂う。だが、「あちらこちらの顔を立てたギリギリの数字なのだろうが大丈夫か」「最終カードを切る日は近いのでは」といった東電の先行きを早くも危惧する声が上がる。

 崖っぷちを意味するギリギリと最終カードの意味とは。次ページから明らかにする。