2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの奇跡Photo: Adobe Stock

言い続けると、うつ状態が改善されるらしい「言葉」

 人間は、「つらい、悲しい、つまらない、嫌いだ、疲れた、恨み言葉、憎しみ言葉」のような、「不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句」を毎日言ったり、浴びたりしていると、ストレスで心身ともにダメージを受けてしまうようです。

 健康な人でも、「肯定的な言葉」を一切言わないで、「否定的な言葉」だけを使っている(あるいは浴びている)と、3ヵ月ほどで精神的に落ち込んでしまうことがあります。

 ということは、見方を変えると、「嬉しい・楽しい・幸せ・愛してる・大好き・ありがとう・ツイてる」という肯定的な言葉(私はこの7つの言葉を、七福神ならぬ「祝福神」と名づけました)だけを言い続け、否定的な言葉に触れないでいると、3ヵ月ほどで元気になるのではないか、と考えました。

10年間続いた「うつ状態」がたった1週間で治った女性の話

 ある日の講演会でこの仮説を紹介したところ、講演会の終了後に、ひとりの女性が私に話しかけてきました。

「私は、10年間、『うつ状態』なのですが、嬉しい、楽しいとか、幸せなどという言葉は出てこないし、いくらそういう言葉がよいと言われたって、気分的に言える状況ではありません。笑っている人がいると、その笑顔を見たくありません。笑い声がすると耳をふさぎます。私みたいな人間はどうしたらいいのですか?」

 私は、次のようにお答えしました。

「私は、あなたの悩みに対して、ああすればいい、こうすればいいという懇切丁寧なアドバイスはしません。そんなつもりで講演をしているのではないからです。今まであなたは、病院の先生を頼って、先生や薬があなたを治してくれると思っていた。でも、治らなかったわけですよね」

 彼女は黙ってうなずきました。

「私の話は、『何かが、うつ状態を治してくれる』という話ではありません。何者かが、人を幸せにしてくれるという話でもありません。『あなた自身』がうつ状態を治せるかもしれないという話をしました。治りたいのなら、本人がやってみる。それだけです」

 その方は、「そうですか」とだけ言って、無表情のまま帰っていきました。

 1週間後、私が兵庫県宍粟市で仲間と合宿をしていたとき、彼女から電話がかかってきました。

「先日、講演会の後にお話をさせていただいた者ですが、覚えていますか?」

 と言うので「覚えています」と答えると、彼女は電話口で、こう言いました。

「あれから、『嬉しい・楽しい・幸せ・愛してる・大好き・ありがとう・ツイてる』を3000回言ってみました。すると、1週間で、うつ状態が治ったんです」

 私はこの事実に驚きました。

 しかも翌日、彼女は、私が滞在中の宿に遊びに来て、合宿中のメンバー15人と、夜中まで、楽しそうにおしゃべりをして過ごしたのです。

 この15人の中に彼女の知り合いはひとりもいません。それなのに、合宿に途中参加して笑顔を見せ続けた彼女を見て、私は本当に、うつ状態が治ったのだと思いました。

 その宿に居合わせた誰もが「彼女が、うつ状態だったなんて、信じられない」と言ったほど、彼女は元気になっていたのです。

 毎日、「嬉しい・楽しい・幸せ・愛してる・大好き・ありがとう・ツイてる」と言い続けていると、どうやら、それを言う人も、聞く人も、どちらも、どんどん元気になっていくようです。