職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

メールたった1通で「仕事ができる人かどうか」がバレる。その差とは?Photo: Adobe Stock

「わかっているだろう」を疑う

 社外の人へのコミュニケーションには、さらに気をつかった予告が欠かせません。

 たとえば、メールで、次のような失敗をしたことがないでしょうか。

 ある企業で、お客さまからのお問い合わせに対し、

「確認して折り返しご連絡します」

 と返信した社員がいました。

 翌朝、そのお客さまから「まったく連絡が来ない」と苦情が来て、トラブルになりました。

 そのお客さまの会社内での折り返しルールは「15分以内」だったのです。

 しかし、一方の社員の感覚だと、「翌日中」でした。

 このトラブルを避けるためには、最初から「明日の〇時までにご連絡します」などと伝えておくべきでした。

 このように、自分と相手の「当たり前」に違いがあると、相手の誤解を招き、やがてお互いがストレスを感じるようになるのです。

 特に、文字だけのコミュニケーションでは、顔の表情や声のトーン・身振り手振りに頼ることができず、「たぶんこういうことだろう」と思い込む、ということがよく起こります。

 それをなくすためには、「こういうことかな?」と疑問点が浮かんだときは、決して確認を怠らないことです

 人はそれぞれの当たり前の中で生きていますので、受信したその瞬間、読み手が解釈したいようにしか伝わりません。

 社外の人には、特に確認を徹底しましょう。

「リマインド」をクセづけよう

 リマインドは、とにかく日頃からやっておくに越したことはありません

 たとえば、長時間の車移動や店舗業務従事者など、メールチェック自体を頻繁にできない仕事があります。

 そんなときは、取引の最初に、

「メールをすぐに見られませんので、当日夜までには必ずご返信します」

 と伝えておくと親切です。私自身も、朝から夕方まで研修が入っている日は、返信できるのが夜になるので、そのことを伝えるようにしています。

 そうやって予告しておけば、相手を不安にさせることもありません。

 また、誰にでも「うっかり」があります。

 提出期日やアポがある前日にリマインドメールを送れば、相手のうっかりを未然に防ぐことができます

「貴社とのお打ち合わせが明日になりました。14時に以下のURLからお入りください」というメールを送ったら、「ありがとうございます、4時(16時)と勘違いしていました!」という返信をいただいたこともあります。

 こうした誤解は、したほうもさせたほうも気まずい思いをします。

 予告には、そんな思いを未然に防ぐ効果があるのです。

メールたった1通で「仕事ができる人かどうか」がバレる。その差とは?

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。