人生で成功を望むなら、「人を見る目」は最も重要と言っても過言ではありません。5000人を超えるハイキャリア人材を見極めてきた人材のプロが知る「人を選ぶ力」の伸ばし方について、『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』(小野壮彦著、フォレスト出版)より一部を抜粋・編集して紹介します。
コンピテンシーを見抜くと
相手の「将来の行動」を予測できる
コンピテンシーとは人事業界などでよく使われる概念・手法で、「好業績者の行動特性」と訳されている。1980年代後半にアメリカの人材活用の場で使われるようになった。
これは1970年代にハーバード大学心理学科のマクレランド教授が、国務省のオーダーで、学歴や資格、スキル、知能レベルなどが同等の外交官に、業績の差がなぜ出るのかを研究したことがきっかけとして生まれたものだ。
コンピテンシーとは、その人が“どんなシチュエーションで、どういうアクションを取りがちか”という、固有の行動のパターンだと理解していただきたい。
相手のコンピテンシーがわかると何がいいかというと、相手の「将来の行動を予測」するのに使えるということだ。人間は似たようなシチュエーションで同じ行動を繰り返しがちであるという研究結果がその下敷きとなっている。
ビジネスの現場で人を見極める際には、大体5~7個のコンピテンシーを取り扱う。次の図1を参照していただきたい。
上段の3つがマネージャークラス以上のビジネスリーダーを選ぶ場合によく使われる代表的なものだ。もし時間や余裕がない際には、この3つだけを意識して人を見ればよいだろう。
大きな3つの行動特性
重要なコンピテンシーのうち、1つ目は「成果志向」だ。
何かのノルマを課せられたときに、成果志向が低レベルの人は「難しいとやめてしまう」、中レベルの人は「絶対にやり遂げ、目標はなんとか達成しようとする」、高レベルの人は「目標は越えることが当たり前で、そのための動きが早期から逆算でき、目標超えの結果を繰り返してナンボと考える」という具合で、階段状にスコアリングできる。
2つ目の「戦略志向」も、多くの現場で重要視されるコンピテンシーだ。低レベルの人は「自部門の戦略を立てることはできる」。中レベルの人は「自社全体の戦略を策定できる」。高レベルの人は「業界や産業全体の戦略を立てられる」。