中国発「タイムマシン経営」が日本に続々上陸!中国人経営者3人に聞く“DX輸出”都内の駐輪場で導入が進むQRコード決済(著者撮影)

海外で成功した事業モデルを日本で展開するという意味を持つ「タイムマシン経営」。一時期、日本企業は中国でこの「タイムマシン経営」を展開したが、今起こっているのはその逆転現象だ。米国や日本の成功モデルが中国に積極移転されるのは過去の話となり、中国の成功モデルが米国や日本へ流入し始めた。これが日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する力にもなっている。(ジャーナリスト 姫田小夏)

「1分=1円パーキング」が話題、背景にあった経緯とは

「1分単位で料金が支払えるパーキングが東京・江戸川区に誕生しました」――2022年10月、民放のテレビ番組で「1分=1円パーキング」として取り上げられ話題になった。「60分止めてもわずか60円」という料金体系は衝撃だ。

 これは「AIパーキング」というサービスで、江戸川区内を中心に十数カ所で稼働しているが、駐車場にあるのは数台のAIカメラと「看板」だ。20台の収容規模でも、“見張り番”はわずか3台のAIカメラだけ。ゲートもロック板もない“ただの平地”だ。

「AIパーキング」に取り組むFusion Cubic(東京・千代田区)の張遠瑞(ジャン・ユエンルイ)代表取締役は「土地所有者はこのサービスで、従来の初期費用を3~4割程度圧縮することができる」と言う。

 駐車場の地面にある機械や設備を取り除き、平面化できないか――。張氏の子会社と母校である東京工業大学、そして事業パートナーであるGOURIKIコーポレーション(東京・江戸川区)の産学連携で試行錯誤した結果、AI画像認証技術とキャッシュレス決済という2つの技術の融合で「AIパーキング」が誕生した。

 かつて、張氏は日本式のパーキングサービスを中国に普及させようとしていたことがある。ところが、それは中国ではうまくいかなかった。それが「AIパーキング」誕生の裏にある。