やせ体質になる?

もう一つ、嬉しいことは、サウナに入ると甲状腺ホルモンが増えるので代謝が上がり、やせ体質になること。

甲状腺というのは首の前方にある小さな臓器で、主な役割は二つ。一つは、交感神経を活性化すること。もう一つは、全身の代謝を活性化することです。そのため、サウナに入ると甲状腺ホルモンが増えることで代謝が上がり、エネルギーを消費しやすい体になります。

また、睡眠の質が上がることで日中の活動量が上がるので、間接的にダイエットにつながることも期待できます。

ただし、本当にやせるかどうかは、行動に依存します。サウナに入ると食事がおいしく感じられるため、食べ過ぎたら当然太ります。

また、直後はカロリーの吸収率も上がるので注意が必要です。

なぜ、カロリーの吸収率が上がるのかと言うと、サウナの後は副交感神経が高まるからです。実は、副交感神経は胃腸とリンクしていて、消化・吸収をコントロールしています。副交感神経が活性化すると、消化・吸収も効果的に行われるようになるので、その分、吸収率が上がります。

「自分はついつい食べ過ぎてしまって太りそう」と思う人もいるかもしれません。

しかし、基本的に代謝は加齢とともに低下します。その代謝を、サウナに入ることで上げられる、体内の環境をメンテナンスできるというのは、サウナの大きなメリットです。サウナを活用することは、体型をコントロールするうえで大きな助けになるでしょう。

ファスティング効果も得られる

ここ数年、ファスティング(断食)が流行しています。特に、18時間という短時間のファスティングが人気のようです。なぜ、18時間なのかというと、断食後18時間で代謝のスイッチが「食事で得た分」から「貯蓄分」に切り替わるからです。

そもそも、人間は進化の過程で何度も飢えの危機にさらされてきたため、エネルギーをたくさん摂取した時に、それを脂肪の形で蓄積し、飢餓の際に利用できるようになっています。しかし逆に言うと、飢餓状態にならないと、これらの脂肪は消費されないということです。したがって、1日3食、さらに飲み会や接待などで食べ過ぎが続くと、次から次に入ってくるエネルギーで事が足りるうえ、むしろ余剰分が脂肪として蓄積されていくことになります。

そこで大事になるのが、体を飢餓状態にして代謝のスイッチを切り替えることです。実は、18時間断食をすると、甲状腺ホルモンが分泌され、代謝のスイッチが切り替わるのです。「この体は飢餓状態にある。だから、貯蓄していた脂肪を使おう」と。

興味深いのは、代謝のスイッチを切り替える役目を担っているのが、甲状腺ホルモンだということです。つまり、甲状腺ホルモンが分泌される=代謝のスイッチが切り替わるということ。そして、先ほどお話しした通り、サウナに入ると甲状腺ホルモンが増えます。だから、サウナに入ると、代謝のスイッチが切り替わって、脂肪を燃焼させるようになるのです。

ファスティングの際の速やかな甲状腺ホルモンの変化は非常に特徴的であり、それと同様の変化が、サウナに入ってわずか20~30分後にも現れます。本来は、約1日かけてファスティングをしないと脂肪にアプローチできないのに、サウナに20~30分入るだけでそれが叶うというのは、メリットが非常に大きいと言えるでしょう。

サウナ前やサウナ中に糖分を摂取しない!

ただし、ここで注意点があります。それは、サウナ前やサウナ中に糖分を摂取すると、甲状腺ホルモンが出なくなるということです。したがって、サウナ前にご飯を食べるのはNG。また、サウナーが大好きな「オロポ(オロナミンC+ポカリスエット)」「アクエリアル(アクエリアス+リアルゴールド)」、イオンウォーターなどにも糖分が含まれているため、ファスティング効果を狙うならNGだということ。飲む場合はサウナ後にしましょう。

むくみが取れる効果も

朝起きたら顔がパンパンにむくんでいたという経験はありませんか。大事なプレゼンやミーティングがある日は、すっきりシャープな印象で臨みたいところだと思います。

その点、サウナは、むくみを取る効果も非常に高いので便利です。

むくみの原因は、「体の水分と関係がありそう」ということは、なんとなく想像がつくと思います。

人の体の約60%は水分でできていて、そのうち3分の2は細胞の中にあり、残りの3分の1は血液の中と、細胞と細胞の間を満たしている体液(間質液)の中にあります。

間質液は、細胞に酸素や栄養を届けたり、不要な物質を回収して血管に戻したりしています。細胞や血管の中を行き来して、水分のバランスを保っているのです。

ところが、何らかの原因によってこのバランスが崩れ、間質液に水分が異常に増えると体がむくみます。間質液が増えることで、体の表面が腫れたような状態になるからです。

原因の一つとして挙げられるのが、塩分の過剰摂取。

体には、体内の塩分濃度を一定に保つ機能があります。そのため、塩分をたくさん摂取すると、体内に水分を溜め込むことで塩分を薄めようとします。すると、間質液に水分が溜まり、むくんでしまいます。

しかし、サウナに入ると汗を大量にかくので、間質液に溜まった水分を減らすことができ塩分も排出されます。その結果、むくみが取れます。

したがって、最近ラーメンや塩辛いものを食べ過ぎて、顔がむくんでいるという場合は、サウナへ行きましょう! シュッとシャープな印象に変身できると思います。

*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。