入園前から高まるワクワク
大人たらしな遊園地
あらかわ遊園は東京都荒川区によって運営されている公営の遊園地で、東京23区内で公営はここだけらしい。“公”と付くものはその性質上冒険がしにくいので、大体守りに入っていて、悪くすると「面白みがない」ところに陥りがちである。はたして、あらかわ遊園はどうか。ひとつお手並み拝見である……。
と、上から勝手に評論する傲慢(ごうまん)な姿勢で臨んではみたが、入園ゲートをくぐる前から実は期待値がかなり高かった。
まずは、あらかわ遊園の入場料および一日フリーパスの安さである。筆者一行は「入園券のみ」(筆者の分)と「フリーパス2枚」(子らの分)あわせて2000円であった。
高コスパの気配濃厚なあらかわ遊園は、保護者である筆者のテンションを入園前から上げていた。提供されるサービスの質がよほど悪ければ「コスパが高い」にはなり得ないが、あらかわ遊園を地元とする人たちから異口同音に「良い」と聞いていたので、心配はしていなかった。
日曜、正午過ぎに着くと園の駐車場は満車になっていて、近隣のコインパーキングに車を止めて10分弱歩いた。途中、裸の女性が逆立ちしている銅像を見つけて子らのテンションははや最高潮を迎える(※作品の尊厳のために断っておくが、子らが「女の人がお風呂場で逆立ちしてサーフィンしている」と喜んでいたそれは、「聖なるもののリピドー空へ」という由緒正しき芸術作品である)。なお電車で来るなら、最寄り駅は都電荒川線「荒川遊園地前」なら徒歩3分、JR尾久駅なら徒歩12分とのことである。
車の中から見た時は入園ゲートに列ができていたが、筆者らが着いた時はほぼノータイムで入園することができた。アトラクションや食事処などが「混む」と聞いていたから、運が良かったのかもしれない。
園に一歩踏み入れての第一印象は「キレイ」であった。そういえば、自治体の新しい施設は全国的にどれもキレイである。これは“公”が良い目に出たということに他ならない。あらかわ遊園は、遊園地特有のワクワク感はそれほど強くないが、全体的にスッキリしていてキレイである。大人としては、こういうのがうれしい。調べたところ、約3年半の休園期間を経て、2022年4月にリニューアルオープンしたとのことであった。