スキー場の古いリフトを
人気沸騰のブランコに

 そんな会話をずっと続け、気づけば時計の針も12時を回ったころ。「隠れた資産」を活用した象徴的プロジェクトとして、展望台兼カフェの建設と、山頂エリア全体を使った空間づくりの構想が出てきます。

 結果から見ると、これが展望台兼カフェ「白馬マウンテンハーバー」と、絶景に飛び出すブランコ「ヤッホー!スウィング」につながりました。

白馬マウンテンハーバーで活用した「隠れた資産」
【モノ】
白馬岩岳の山頂から見た白馬三山を望む西側の景色と、そこに面した崖状の地形
【ノウハウ】
山頂という厳しい条件でも飲食店を運営できる能力
【ヒト】
白馬のヘビーリピーターだった経営者の方にご紹介いただく縁でつながったニューヨーク発の人気ベーカリー「THE CITY BAKERY」さん
【成果】
開業した2018年10月からの1カ月間で、それまでのグリーンシーズントータルの来場者数を超える3万人を集客する

ヤッホー!スウィングで活用した「隠れた資産」
【モノ】
10年近く運行されていない古いリフトの終点施設
【成果】
『アルプスの少女ハイジ』のブランコを彷彿させるとしてSNSを中心にいっきに拡散。グリーンシーズンの6カ月間だけで2万5000人以上が利用し、混雑日には最大5時間待ちを記録する人気施設となる

 どちらも、もとからある眺めや地形、プラットフォームを活用したことで、小さな投資で圧倒的に大きな効果を生むことができました。

 大切なのは、これらは「ゼロベース」でつくり上げたものではないということです。そこに元来あったはずの価値をどう伸ばすか、それを考え抜いたからこそ、費用対効果が圧倒的に高くなったのです。