「これまでの経歴の資料です。思い出しながら書いていたら集中しちゃって、お昼ごはんを食べ損ねちゃいました」。午後2時すぎにファミリーレストランで顔を合わせた彼女の手には、雇用期間や形態、給与などの情報が整然とまとめられた4枚のA4用紙があった。
アスペルガー症候群(診断当時。現在はASD:自閉症スペクトラム症に統一)の琴子さん(仮名・47歳)は4年前に、大手企業グループ会社(メーカー)の障害者枠正社員になった。約5年間のひきこもり生活から抜け出し、就労して12年。遅い社会人デビューだが3社で経験を積みスキルを身につけ、自信がついた末に手に入れた「安定した職」のはずだった。