大企業の講義を無料で受けられる
日本リスキリングコンソーシアム

 まず取り上げたいのが、「日本リスキリングコンソーシアム」だ。グーグルやマイクロソフト、ヤフーなど、60以上の企業・団体が提供するトレーニングプログラムがまとめられていて、受講を申し込むことができる。講座内容はAIやクラウドといったIT関連を中心に、クリエーティブやデザイン、テレワーク・働き方改革など幅広い。
 
 何よりうれしいのは、無料プログラムが豊富なことだ。試しにAIの無料プログラムを検索すると、ヤフーの「社会情勢とトレンドから探るデータ活用成功への道筋」や、一般社団法人日本ディープラーニング協会の「AI for everyone(すべての人のためのAIリテラシー講座)」などが見つかる。
 
 同コンソーシアムは、昨年6月に発足したばかり。グーグルを主幹事に、国の省庁や地方自治体が協力・後援に名を連ねる。プログラム提供者は、先の通り大企業も多い。低額のリスキリングというと、どうしても“質”に不安を抱いてしまうが、この面々が提供するのなら安心感があるだろう。
 
 とりわけ目が行くのは、主幹事であるグーグルの無料プログラムの多さだ。AI関連で見ても「はじめてのAI」「イノベーションを加速させるための第一歩」など、複数のプログラムが出てくる。
 
 グーグルはもともとデジタルスキル習得の支援に力を入れており、同コンソーシアム発足前から、無料のデジタルスキルトレーニングを提供する「Grow With Google」プロジェクトを行ってきた。
 
 今もこのプロジェクトは続いており、サイトには無料講座が多数ある。例えば「はじめてのデジタルマーケティング(デジタルマーケティングの基礎を知る)」「はじめてのeコマース(Eコマースにおけるポイントを理解する)」「はじめてのデジタル変革(自治体編:自治体におけるデジタル改革について知る)」などがある。入門的な内容が多いものの、1時間ほどの講義をここまで取りそろえているのは驚きだ。少なくともデジタルスキルの初歩的な部分は網羅しているのではないか。 

 そのほか、デジタルスキルを学ぶなら「マナビDX」も貴重だ。これは経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が昨年3月に立ち上げたサイト。ソフトウエアエンジニア、データサイエンティスト、サイバーセキュリティーなど、幅広いスキルにさまざまな講座が用意され、無料講座も多い。また、受講費用などの補助を受けられる講座もある。
 
 扱う講座は経済産業省の審査基準を満たしたものということで、質の面でも心強いだろう。