30代40代のミドル社員が身につけたい“両利きのキャリア”とは何か?

昨今、「両利きの経営」というコトバがビジネスシーンで目立っている。既存事業の「深化」と新規事業に向けた「探索」を両立させるという経営姿勢のことだ。「キャリア自律」が重要視される時代において、「深化」&「探索」行動は、組織のみならず、個人にとっても大切なものだろう。経営コンサルティング会社での勤務を経て、現在は成熟企業の事業創造支援などを行う筆者(東加菜さん/michinaru株式会社 マーケティング・広報担当)が、「両利きのキャリア」について論考する。(ダイヤモンド社 人材開発編集部)

企業経営において注目されている「両利きの経営」

 2019年の発行以来、10万部を超えるベストセラーとなり、ビジネスシーンでもよく聞かれるようになった書籍『両利きの経営』。同書で定義された「両利きの経営」を実現するための「両利きの組織」――それは、“収益を上げる方法が確立された既存事業の磨き込み(深化)”と“新たな事業機会の掘り出し(探索)”というふたつの側面を持ち、双方の行動によって価値の進化を目指す組織のこと。最近では、「両利きの経営」を志向する旨を、中期経営計画などに記載している企業も増えており、多くの企業が目標とする経営スタイルのひとつと言えるでしょう。

 私は、“両利き”となる「深化」と「探索」の姿勢が、企業経営においてだけでなく、個人のキャリア形成においても重要だと考えています。

 変化の激しい、不確実性が高いと言われて久しいVUCAの時代において、これまで培ってきた個人のスキルや経験を活用しながらも、成し遂げたい目的や実現したい未来に向けて、新たな知識やスキルを身につけ、自身のキャリアや人生の可能性を拓く――そんな「両利きのキャリア」を楽しむ人材が増えることが、社会の活性化や日本の未来につながるのではないでしょうか。