頭がかゆくてフケが出やすい人の薄毛は
育毛剤より皮膚炎の治療を

 頭皮にかゆみがあってフケが出やすい、季節の変わり目に悪化する。このような症状の大半を「脂漏性皮膚炎」といい、現代社会で増えていると聞いた。吉木伸子医師(よしき皮膚科クリニック銀座院長)は「皮膚炎が深くまでおよび、真皮の毛根周囲にも炎症が起きることで毛の発育が阻害されて、薄毛になる」と説明する。

「脂漏性皮膚炎には、乾燥するタイプとオイリーになるタイプがあります。乾燥するタイプは、かゆみとともに乾燥した細かいフケがパラパラと落ちる。それに薄毛を伴う場合、粃糠(ひこう)性脱毛と呼びます。一方、オイリーになるタイプは、頭皮に赤みやかゆみがあり、油っぽいべたっとしたフケが付着します。それに薄毛を伴うと、脂漏性脱毛と呼ばれます。これらの皮膚炎に伴う薄毛は、もちろん育毛剤を塗ってもよくなりません。皮膚炎を治療すれば、通常は脱毛も回復します。早く適切な治療を受けることが大切ですね」(吉木医師)

「1日洗わないと頭がかゆくなる」人は
むしろ洗う回数を減らしたほうがいい

 シャンプーや整髪剤が頭皮に合わず、皮がむけているのをフケだと思い込み、合わないものを使い続けた結果、頭皮が傷んで毛が抜けるケースもあるそうだ。またフケがなく、頭皮に異常が見られないのにかゆいという場合は、ほとんどが洗いすぎ。

「1日洗わないと頭皮がかゆくなるという人は、もともとの皮膚バリアが低下している可能性が高いです。洗いすぎ→地肌が乾燥→かゆみが起きる→かゆいからまた洗うという悪循環に陥っているのです。悪循環を断ち切るためには思いきって洗う回数を減らすこと。湯シャン(シャンプーを使わず、お湯だけで髪をすすぐ)もいいでしょう。はじめは余計かゆいかもしれませんが、だんだん落ち着いてくるはずです。1日洗わないと髪が脂でペタッとしてくるような人は毎日洗うほうがいいですが、そこまででなければ多くの人にとっては毎日洗わないほうがいいのです」(吉木医師)

 コロナ禍における清潔志向の高まりで、頭皮だけでなく皮膚を洗いすぎる人が増えている。「きれいにする」のも度が過ぎないように、健康的な皮膚を守ることを意識したい。