終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人と、必ず定時で帰るのに成績No.1の人。この差はいったい何だろう? 努力が成果に反映されない根本的な原因はどこにあるのだろうか? そんな悩みを本質的に解決してくれるのが、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。
著者は、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏。
「食べチョク」秋元里奈代表の「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され、【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで取り上げられた本書。年度が切り替わるこの春、『時間最短化・成果最大化の法則』ブームはますます加速していきそうだ。
そこで今回、『365日 #Tシャツ起業家』の著者でもある秋元代表に、本書の活用術を教えてもらうことにした。
第3回は、「すぐに心が折れてしまう新入社員のために、上司がやるべきこと」をテーマに話を聞いた。(構成・川代紗生)

若手の育成が絶妙にうまい上司の“心が疲弊しない”秘密の研修とは?

部下の「視野を狭められるか」が人材育成のカギ!?

──部下に丁寧なアドバイスをしたつもりが、「怒られた」と受け取られてしまう……など、世代ギャップがある若手社員の悩みを理解してあげられず、対処法がわからないことはよくあります。

 すぐに落ち込んでしまう若手社員に対し、上司がやるべき最も大切なことは何でしょうか?

秋元里奈(以下、秋元):意図的に「視野を狭める」ことかなと思っています。

──意図的に視野を狭める?

秋元:私は、仕事が苦しくて折れてしまうことがないタイプでした。

 人間関係でメンタルがやられてしまったことはあっても、仕事自体が嫌になったことはほとんどありません。

 仕事に夢中になっていると、頭の中が「仕事をしなきゃ!」でいっぱいになるので、それ以外の悩みにメモリを使う余地がなかったのかな、と思います。

 でもそれは、私がたまたま心が折れにくい人だったというより、環境要因が大きいのかもしれません。

 今の新卒世代は、SNSの影響もあり、同世代でキラキラしている人たちの姿がどんどん目に入ってくる。

 常に頭のメモリが「他人と比較すること」でいっぱいなのだと思います。

──もはや、SNSを見るのは生活の一部になっている人も多いですね。

秋元:そうすると、

「実はあまり上司に期待されてないんじゃないか」
「このままでいいのか」

 など、不安ばかりが募ってきます。

 ですから、上司は、部下の視野を適切に狭めてあげることも大切かと。

「そんなところに大切なメモリを使わなくていいんだよ」

 と、フォーカスすべき仕事を教えてあげるのも、上司の大切な仕事です。

自己理解をサポートする「研修のゴールデンルール」

秋元:具体的な対策として、『時間最短化・成果最大化の法則』にある「欠落的欠点を克服する秘密の研修“ジョハリの窓の法則”」を活用するのがいいと思いました。

「ジョハリの窓」のフレームワークを使った「研修のゴールデンルール」も紹介されていましたが、部下の自己理解をサポートするうえで、とても有効だと思います。

秋元:このフレームワークを使って、「まわりの人は特に問題視していないのに、本人が気にしすぎている」ものを整理し、正しい課題にフォーカスしてあげる。

 これも上司にとって必要なことだと、『時間最短化・成果最大化の法則』を読んで改めて思いました。

 上の図にある右上の「盲点の窓」はとても大事です。

 自分は気づいていないが、他人は知っている自己を示す「盲点の窓」。

 この研修によって、まわりの人から「盲点の窓」を初めて本人が自覚することで、本書でいう「欠落的欠点」、つまり、自分が欠点と思っていない欠点が自然と浮かび上がってきます。

 この研修がなによりいいのは、上司だけが孤軍奮闘しなくてもいいということ。

 チームの力を借りることができるので、上司の心が疲弊せずにすみます

 共感できる部分が多く、若手社員たちに伝えたいことがこの本で全部網羅されていたので、もはや新入社員のみなさんには「とりあえずこの本を読んでおけば大丈夫だから!」と、仕事の教科書として使い倒してほしいくらいの気持ちです!