勝負に関わる「流れ」や
「ゲン担ぎ」について

 どんな仕事であっても「今日はなんだか流れが悪いな」と感じることがあると思いますが、勝負事である競馬にも当然“流れ”というものがあります。

 騎乗馬の状態がことごとく今ひとつだったり、その日に限ってなぜかコントロールの利かない馬が揃ってしまったり、枠順の並びなどで、どうしても道ができない、作れないといった日も……。

 ですが、それらをすべて真正面から受け止めて、上手くいかないことを嘆いていたら心が持ちません。

 だから、僕はそういう日に直面したとき、「今日はこういう日なんだ」とあきらめることにしています。

 僕が思うに、一番の悪手は、結果が出ないときにバタバタしてしまうことです。

 もちろん、若い頃は勝てない日が続くと焦ることもありました。焦っていろいろなことを試したりもしたのですが、当時は20回乗って1回勝つかどうかの時代。「答え合わせ」が20回に1回しかできないわけですから、何が正解かわからないまま、時間ばかりが過ぎていったのです。

 そこで僕は気づきました。

「流れが悪いときこそ、バタバタしてはいけない」ということに。無駄だなと思ったのです。

 いつも通りのことをやって結果が出ないのであれば、そのままいつも通りのことをやり続けて、結果が出るのを待つ。

 それで結果が出る、つまり流れが戻ってきたときに、新しいことにトライする。

 ダメなときに何かを変えるのではなく、いいときにこそ、変えていく。

 それこそ、僕が辿り着いた答えです。

 悪いときほど方向転換を試みるなど足掻きたくなるものですが、そういう時期は何がよくて何がダメなのか、とてもわかりづらいと僕は思います。むしろ泥沼にハマっていく……そんなイメージがあります。

 また、ジョッキーは負けることが圧倒的に多い仕事なので、僕はゲンを担ぐこともしません。