提携を発表した森トラスト・ホテル&リゾーツの伊達美和子社長とマリオットインターナショナルのジョン・マリオット副会長
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 東京にない外資系ブランドとして注目されてきたマリオットが、2013年12月にいよいよ進出する。東京都品川区にある「御殿山ガーデン ホテルラフォーレ東京」(経営は森トラスト、運営は森トラスト・ホテル&リゾーツ)が6月から改装し、「東京マリオットホテル」にリブランドする。

 ホテル客室数は約250室と、リブランド後もあまり変わらない。これまでのラフォーレ倶楽部などの会員制度はリブランド後も引き継がれる。そこに、マリオットグループの顧客ネットワークからの外国人客を呼び込みたい考えだ。改修費用は、併設する住宅などを含めて、施設全体で60億~70億円になる見通しだという。

「御殿山の持つ歴史や品格を強みに、結婚式にも力を入れる」と伊達美和子・森トラスト・ホテル&リゾーツ社長は意気込む。

 他方、マリオット・インターナショナル(本社は米メリーランド州)は、リッツ・カールトンやルネッサンスなどの高級ホテルを世界74ヵ国に約3400のホテルを展開する、世界でも有数のホテルチェーンだ。

 日本でマリオットは名古屋、沖縄にある。14年に大阪で開業することはすでに決まっており、東京進出が悲願だった。

 業界を見渡すと、外資系ホテルの東京進出が加速している。14年には大手町にアマン、虎ノ門にハイアット・ホテルズの「アンダーズ」の開業が予定されている。16年には大手町に三菱地所の再開発ビルがオープンする計画で、業界内では外資系ホテルの誘致が確実視されている。

 05~07年に、マンダリンオリエンタルホテル東京などの外資系高級ホテルが続々と進出して、「東京ホテル戦争」と呼ばれた状況の再来だ。

 森トラストグループもマリオットも、東京を制するのにはいち早い進出が必要、と考えたもようだ。

「東京はニューヨークやロンドンなどと比べてラグジュアリー(高級)ホテルが少なく、伸びる余地があるうえ、ニーズも高い」(大手外資系ホテル首脳)というのが、ホテル業界関係者に多い見方だ。世界経済の停滞などの向かい風もあるなか、外国人客の取り込み競争は激化しそうだ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

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