70代で20代の頃の体重をキープし続ける「カリスマ医師」の江部康二氏の著書『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』は、江部氏が提唱する、糖質制限と1日2食を組み合わせた「食べトレ」の方法を解説し、「医学的に正しい」体重の落とし方を明かした1冊。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、無理なく痩せられる人と全然痩せられない人の決定的な違いを解説する。(構成/根本隼 初出:2022年7月8日)
肉に含まれる糖質はほぼゼロ
「肉の食べすぎは体に悪い」「肉は太りやすい」と信じている人も多いようですが、肉は糖質がほぼゼロで、なおかつたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルと栄養素の宝庫ですから、私は気にせずたくさん食べています。
血糖値を上げるのは「糖質」だけです。たんぱく質も、脂質も、ビタミンも、ミネラルも、食物繊維も、血糖値を上げません。内臓脂肪が増える原因は、脂質ではなく糖質の摂取にあります。
「脂質を摂ったら太る」というのは間違いです。摂ったら太るのは糖質なのです。くれぐれも、この点を誤解しないでください。
糖質制限スタートから「半年で10キロ」やせた
「糖質」を控えれば、お腹いっぱい食べても太りません。ごく短期間で適正体重まで痩せます。私は17年前に糖質制限を始めてから半年で10kg痩せて、20代の頃と同じ体重(適正体重)になってから、いままで体重が変わっていません。
ダイエットの王道と“勘違い”されているカロリー制限食は、食事量を極端に減らすので空腹に襲われます。空腹を我慢し続けなければならないので、頑張っても3~6か月程度で挫折するケースがほとんどです。
しかも、糖質を摂っているかぎり内臓脂肪は減らず、病気のリスクも減りません。さらには、もとの体重以上に増えてしまうリバウンドという大きなしっぺ返しを喰らいます。ダイエットのためにカロリー制限をすると、筋肉や骨の量が減ってしまうので、危険でさえあります。
カロリー制限は効果がないどころか、むしろ「危険」
私たちの体には「摂取カロリー」と「消費カロリー」のバランスを保とうとする働きがあるため、摂取カロリーを減らすと基礎代謝を落として、消費カロリーを減らそうとします。
基礎代謝とは、安静にしているときでも体温や内臓、脳の機能などを維持するために必要なエネルギーのことで、エネルギー消費の60~70%前後を占めています。
この基礎代謝の18%前後は「筋肉」が消費します。摂取カロリーを減らすと、“省エネ体質”にしようと筋肉を分解して(減らして)、バランスを保とうとするのです。
筋肉が減るプロセスでは、骨も減少する恐れがあります(このため骨粗しょう症のリスクも高まります)から、カロリー制限は効果がないばかりか危険なのです。
糖質制限だとリバウンドも起こりにくい
いったん“省エネ体質”になってからカロリー制限をやめると、リバウンドを招きます。基礎代謝が落ちたところで摂取カロリーを増やせば、太るのは当然です。
その点、糖質制限はカロリー制限をしませんから、筋肉が減って基礎代謝が低下することも、骨量が減少することも、リバウンドも起こりにくいのです。
(本稿は、『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』より一部を抜粋・編集したものです)