今年は全国各地で史上最速の梅雨明けを記録し、早くも夏本番の暑さが続いている。夏は気温が高く汗をよくかくため、「痩せやすい」と思いがちだが、実は夏こそ「太りやすい季節」でもある。運動不足や偏った食生活によって基礎代謝が低下しやすく、気をつけないとすぐに「夏太り」してしまうからだ。
そこで参考になるのが、70代で20代の頃の体重をキープし続ける「カリスマ医師」の江部康二氏の著書『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』だ。本書は、江部氏が提唱する、糖質制限と1日2食を組み合わせた「食べトレ」の方法を解説し、「医学的に正しい」体重の落とし方を明かした1冊。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、知らぬ間に脂肪が溜まってしまう「危険な食品」を明かす。(構成/根本隼)

監修 江部診療所院長 医師 江部康二
【口にしてはいけない】いつの間にか脂肪がたまってしまう「危険な食品」とは?Photo:Adobe Stock

日本にも大量輸入されている「危険な果糖」

 果物・野菜100%ジュースは糖質を多く含むので危険ですが、さらに注意が必要なのは異性化糖と呼ばれるタイプの果糖です。

 この果糖の主原料は果物ではなく、安価なトウモロコシから作るコーンシロップ。これを加工すると果糖、ブドウ糖が大量に製造できるのです。異性化糖は砂糖よりも低コストで製造できるため、アメリカで大量生産されており、日本にも大量輸入されています。

 果糖とブドウ糖からなる異性化糖のうち、果糖のほうが多いと果糖ブドウ糖液糖、逆にブドウ糖のほうが多いとブドウ糖果糖液糖と表記されます。

2種類の果糖はいずれも「猛毒」

 異性化糖という言葉は知らなくても、「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」という単語を目にしたことはあるはず。コーラやスポーツドリンクなどの清涼飲料水に多く含まれているので、ボトルに貼ってある「栄養成分表示」でよく見かけます。

 果糖ブドウ糖液糖は、果糖が多いので「中性脂肪」や「AGEs(終末糖化産物)」という老化を促進する物質が生じやすく、特に太りやすいです。

 ブドウ糖果糖液糖は、ブドウ糖が多いので「血糖値の急上昇」「インスリンの大量分泌」を招き、血管とすい臓を痛めつけます。どちらも猛毒といえるでしょう。

「異性化糖」は中性脂肪の発生装置のようなもの

 近頃は、果糖と脂肪肝とのかかわりが注目を集めています。脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰にたまった状態です。

 脂肪肝というと、昔から“大酒飲み”がなるものとして知られていますが、お酒を飲まない人でも脂肪肝になることがあります。この非アルコール性脂肪肝は、単に肝臓で脂肪を蓄積するだけでなく、炎症を起こすこともあります。

 これを非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といいますが、このNASHの一因が“果糖の摂りすぎ”なのです。飲酒をともなわないNASHは、慢性の肝障害が進行し、末期になると肝硬変、肝臓がんに移行することもありますから、果糖を甘くみてはいけません。

 果汁100%ジュースや異性化糖を含む甘い清涼飲料水は、中性脂肪と老化促進物質の発生装置のようなものでもありますから、いっさい口にしないほうが賢明です。

(本稿は、『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』より一部を抜粋・編集したものです)