三越伊勢丹Photo:Diamond

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場70社超、23業界の月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2023年3月度の百貨店編だ。

三越伊勢丹、高島屋、大丸松坂屋…
コロナ前からの回復度合いは?

 百貨店の主要3社が発表した2023年3月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯三越伊勢丹の既存店売上高
 3月度:同119.1%(19.1%増)

◯髙島屋の国内百貨店売上高
 3月度:同107.2%(7.2%増)

◯大丸松坂屋(J.フロント リテイリング)の百貨店事業合計
 3月度:同116.7%(16.7%増)

 23年3月の実績は、3社とも前年実績を上回っている。特に、三越伊勢丹と大丸松坂屋では2桁のプラスとなった。

 百貨店は新型コロナウイルス感染拡大による行動制限の影響、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の激減などで、特に大きな打撃を被った業界の一つだ。しかし、コロナ禍から平時に戻りつつある中でインバウンド需要の一部が復活したことにより、業績は回復傾向にある。

 だが、これまでこの「業界天気図」連載で取り上げてきた業界の中には、前年同月比では好業績に見えてもコロナ禍で大幅に落ち込んだ分の反動であったケースも多かった。百貨店はどうだろうか。

 また、実は伊勢丹新宿本店は絶好調だというが、どれほどの実績を上げているのか。さらに、百貨店業界のインバウンド需要の回復度合いはコロナ前と比べてどの程度なのか。

 次のページで詳しく見ていこう。