
家計や企業の実態とは違う
日銀総裁「値上げ許容」発言
黒田東彦日本銀行総裁の「家計は値上げを許容している」旨の発言は、批判を受けて「撤回」されたが、みずほリサーチ&テクノロジーズが算出した「値上げ許容度DI」は、足元でむしろ低下傾向だ。
家計の値上げ許容度は高まっていないとみられるほか、独自に考案した「節約志向指数」では、値上げが続く飲食料品を中心に家計がより割安の商品を購入する動きが強まっていることがわかる。
黒田総裁が値上げ許容の判断材料として引用したアンケートのデータでも、家計の値上げ許容度が高まっていると解釈するのは無理がある。
日用品の値上げの影響が大きい低所得者は値上げ許容度が特に低いと考えられ、景気減速のリスクが現実味を帯びる状況で物価問題は岸田政権の最大の経済課題になりつつある。