【元国税専門官が明かす】お金持ちになりたいなら今すぐやめた方がいいこと・ベスト1

収入はたいして増えないのに、物価や税金が上がり支出ばかりが増えていく……無駄遣いしているつもりはないのに、お金が貯まらない。「老後のお金は大丈夫なんだろうか」と不安になっている人も多いのでは? そんな人が参考にしたいのが、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、東京国税局の国税専門官・小林義崇氏が、相続税調査を通じて得た“トップ3.5%の富裕層”が密かにやっていること」を体系化したもの。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、全体のたった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない“億万長者のリアル”に触れてきた小林氏は、「富裕層ほど倹約家。無駄金を使わないからこそ富裕層になれた」という事実に気づいたという。
富裕層の実態を知る小林氏に特別インタビューを実施。全5回の第4回目は、「お金持ちになりたいなら今すぐやめた方がいいこと」について聞いた。(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)

「貧乏になりやすい人」の最大の特徴とは?

――突然ですが、35歳から一念発起して生活を変えれば、富裕層に近づくことは可能でしょうか?

小林義崇(以下、小林):億単位の資産を持つ富裕層も、元はといえば普通の人たちです。仕事や投資など、誰もができる地道な行動を積み重ねて、資産を築いた人が大半なんです。

私は、国税専門官時代の経験や、マネーライターとしてさまざまな人に取材させていただいた経験を経て、富裕層になれるかどうかは必ずしも生まれつきではなく、自分自身の行動次第だと確信するようになりました。

――お金の管理が苦手で、何からはじめたらいいかわからない、という人も多いと思います。富裕層に近づくために、今すぐにやめた方がいいこと・ベスト1をあげるとすれば、何が大事だと思いますか?

小林:いちばんは“目的意識のない買い物”をやめることですね。本書にも「億万長者は1円たりとも無駄遣いしない、節約しているからこそ億万長者なのだ」と書きましたが、それは言いかえれば、「お金を使うのに目的意識がある」ということ。

目の前のお金を投じることによって、何を得られるかを考え、最適なものを選ぶ。それが富裕層のお金の使い方です。

節約のコツは“購入までの段階を増やすこと”

――ストレスが溜まったりすると、目的意識なくパーっとお金を使いたくなってしまったりしますが、富裕層の多くは、すべてに目的を決めて使っているのですね。

小林:たとえば、「旅行に行きたい」と思うと、航空券をオンライン購入したりホテルを予約したりと、そのままの勢いで行動したくなることがありますよね。「全部で20万円くらいかかるけど、次の給料日でなんとかなるだろう」と、ざっくりとした計算だけで大きな買い物をしてしまう人も多いと思います。

パッとお金を使うのではなく、一度立ち止まってみて、「何のために旅行に行くのか?」と考えてみること。「ストレス解消のため」「一人の時間がほしいから」などの目的であれば、わざわざ20万円かけて旅行に行かなくても、日帰りで遠出するとか、近所の銭湯に行くとか、いろいろな選択肢が出てくるかもしれません。

いろいろ考えた結果、「やっぱり旅行したい」と思うのなら、納得して20万円を使えるでしょう。

もし今まで、

段階1:旅行したい! → 段階2:予約しちゃおう!

と、目的意識なく衝動的に行動することが多かったのなら、

段階1:旅行したい! → 段階2:どうして「旅行したい」と思ったんだろう? → 段階3:ストレス発散したいから → 段階4:ストレス発散できる方法は何があるだろう? → 段階5:複数の選択肢の中から、予算と照らし合わせて選ぶ

というように、購入までの段階を増やすのが良いと思います。Amazonなどで決済ボタンを押す前に、紙に書いて洗い出してみるのもいいかもしれませんね。

ストレスが溜まったら
旅行より100均に行け

小林:衝動買いの怖さは、求める効果よりもはるかに高いお金を払っている可能性がある、ということです。

大金を払ったのに、ストレスが発散できたのは買い物をしたその一瞬だけ。あとあと、「なんであんなのに何十万も使っちゃったんだろう」と後悔し、余計にストレスがたまる……なんてこと、よくありませんか?

――あります! 勢いで買ったブランド物の服を結局全然着ることなく、自己嫌悪を繰り返してしまったり……。

小林:以前、私が取材したお金持ちの方は、とにかく買い物したくなるときがときどきあるらしく、そういうときは毎回、100均に行くんだそうです。

――金持ちの方が100均に? 意外です。

小林:100均なら100個買っても1万円だから、とおっしゃっていました。ご自身でも、その「買い物したい」という衝動は、あくまでもストレスが原因であり、何かを大量に買いさえすれば満足することがわかっているから、100均に行くのだそうです。

――富裕層といっても、できる範囲でさまざまな節約の工夫をされているんですね!

小林:そうなんです。私も、税務調査で富裕層の「お金」と「相続」のリアルを知ったことにより、お金持ちと自分を比較して思い悩むことはなくなりました。

自分のように母子家庭の育ちで、特別な才能を持たない人間は、一生お金持ちと縁がないと思い込んでいたのですが、そんなイメージは幻想だったのです。

よく「お金持ちほどケチ」なんて言われますが、これはある意味真実で、1円たりとも無駄にしないという倹約意識を持ち、地道な行動を積み重ねて資産を築いてきたのだと思います。

本書では、節約、資産運用、不動産、生活など、さまざまな側面から「富裕層のリアル」を切りとっています。お金の不安がある人に、参考にしていただけると嬉しいです。

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者インタビュー・全5回の第4回目です。

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