HPVの「9価」ワクチンが公費で接種可能に、対象は小6~高1女子Photo:PIXTA

 4月から、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防する9価HPVワクチンが公費で接種できるようになった。

 HPVには100種類以上の型があり、そのうち悪性腫瘍(がん)の発症に関係する「ハイリスク型」は15種類ほど。9価ワクチンは、ハイリスク型のうち9種類の感染を防ぐ。すでに定期接種が行われている2価、4価ワクチンよりも高い感染予防効果(8~9割)が期待できる。

 接種対象は小学校6年生から高校1年生(11~16歳)までの女児。ただし、情報不足や副反応への不安で接種を逃していた女性についても、誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日であれば、公費で9価ワクチンがキャッチアップ接種できる。詳しくは厚生労働省のHPを参照してほしい。

 9価ワクチンを接種する場合の注意点は、1回目の接種年齢でスケジュールが変わることだ。

 1回目の接種を小学校6年生から15歳の誕生日の「前日」までに受けた人は、その後少なくとも5カ月以上をあけて2回目の接種を行う「2回接種」で終了する。

 一方、1回目を15歳以上で接種した場合は2回目を1カ月以上あけて接種、さらに3カ月以上を過ぎてから3回目を接種する「3回接種」の必要がある。

 基本は3回接種だが、9歳以上15歳未満の女性を対象とした臨床試験で2回接種でも3回接種に劣らない効果が確認されたため、このスケジュールが承認された。

 すでに2/4価ワクチン接種を済ませている女性は、9価ワクチンを接種する必要はない。また、2/4価の3回目接種前の女性は、原則として同じ種類のワクチンで終了することが望ましい。途中で9価に変更した場合の有効性や安全性(副反応など)についてのデータが少ないからだ。

 HPV感染を原因とする子宮頸がんは、20~30代から新規発症が目立ちはじめ、発症のピークは30代後半にある。ちょうど私生活や仕事が軌道にのり、そろそろ子どもが欲しいなと思い始める年齢を狙い撃ちにする辛いがんだ。

 将来の苦しい選択を避けるためにも、ワクチン接種が望ましい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)