理解できない金融商品や金融サービスには近寄らない

「安定運用したい」という方に対して、「それなら保険がいいのではないでしょうか」「投資信託で長期分散投資をしていきましょう」という提案は、典型的な間違いのもとです。

 保険商品といっても実際には幅広く、さまざまなタイプがあります。「安定運用なら保険で」という説明の方向性は、大筋間違いではありません。重要なのは商品の細かい中身です。提示された保険が株式を中心に運用する変額保険であれば「安定」運用とは異なってきます。為替リスクのある外貨建て保険だとしたら、そもそも保険である必要性がわかりません。債券など他の選択肢も考えられますし、保険を使って運用することが非効率である可能性があります。

 また、投資信託で長期分散投資という考え方も間違いではありません(もちろん年齢にもよりますが)。しかし、実際に金融機関で購入した投資信託を見てみると、運用コストが非常に高い商品ばかりを購入していることが多々あります。わずかな運用益のために、不必要に高い運用コストを払い続けていたり、下手をするとコストのほうが高くなる「コスト負け」状態になっていることすらあります。

 金融機関で勧められる投資信託がコスト高なのは、金融機関とネット証券の投資信託販売ランキング(もしくは純資産ランキング)を比較してみれば一目瞭然です。ネットで売れている投資信託のほうが、ずっとコストが低いことがわかります。

 私は基本的に、金融機関から勧められる金融商品、金融サービスは、きちんと理解できないのであれば近寄らないほうがいいと考えています。それらのほとんど、感覚的にいうと9割はシニア世代のみなさんにとって必要がないものだったり、運用するには非効率なものだったりするからです。