シン富裕層の投資・節税・相続#7Photo:PIXTA

数年来議論されていた「生前贈与」が2023年度の税制改正で大きく変更された。しかし変更の詳細に関しては少々分かりづらい部分も多い。特集『シン富裕層の投資・節税・相続』(全24回)の#7では、富裕層の資産管理を手掛けるプロフェッショナルが、分かりやすく3点に絞って整理・解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

2023年度税制改正の
3つのポイントとは

 税制改正のポイントの1点目は、今年に関しては生前贈与の制度は従来と変更はないということである。「110万円の基礎控除」「3年持ち戻し」は、昨年と何ら変わらずだ。

 なお、3年持ち戻しとは、贈与者(お金をあげた人)が贈与後3年以内に亡くなってしまうと、その贈与したはずの財産評価が贈与者の遺産として持ち戻ってきてしまい、相続税がかかってしまうということ。贈与したはずなのに、相続税がかかってしまい、当初の意図とは異なる結果になってしまうということだ。

 2点目は、2027年以降、生前贈与の3年持ち戻しが「段階的に7年持ち戻しに延長される」ようになるということである。ここが一番ややこしいので詳細は後述する。事例を用いて、分かりやすく解説しよう。

 そして3点目は、これからの生前贈与は、子供ではなく孫、そして息子の妻や娘の夫などに贈与するのが主流になりそうということである。

 では、2点目と3点目について具体的に解説していこう。