中小企業が大手企業に追いつくためにやるべきこと

 A社では賃上げをすぐに実施したわけではありません。大切なのは賃上げや役職、会社の成長といった「将来の姿」を示し、それが実現可能だと社員が信じられることです。

 会社の目指す理念を浸透させるために評価制度があり、その運用によって評価ができるリーダーも育っていきます。これまで手つかずだったことを実現していく会社の姿を見て、社員も変化を実感できます。

 もちろん、このような好循環が生まれるまでには最低でも3年はかかるでしょう。実際、A社と同じような悩みを抱えて弊社に相談にきたクライアントは何社もありますが、5年以上関わっている会社は100%改革を実現できています。

 私は中小企業と大手企業の差が開いてしまう理由の一つに、このように時間をかけて改革を実行していくという意識が薄いことがあると考えています。明確な目標設定や具体的な数値計画を設定することなく、商品開発や新しい戦略に取り組めば変わると考えている経営者も少なくありません。

 国内の中小企業は減少傾向にあります。現在のように生産性も低いままでは大手企業との差が開く一方です。自社の理念を明確にして、その理念を時間がかかっても社内に浸透させていくことをあきらめず、ブレずに経営を続けていくことが大切なのです。