JR3社が「3年ぶり最終黒字化」の理由、本格回復への“最大の課題”とはJR3社の業績は、今年度、どの程度、平時の社会経済活動に戻れるかが焦点となる Photo:PIXTA

JR東日本・JR西日本・JR東海の本州3社が2022年度決算を発表した。3社ともに業績は回復傾向で、純損益は3年ぶりの黒字となった。鉄道事業者は2020年度以来、コロナ禍に翻弄されてきたが、ワクチン接種が広がり行動制限が緩和されたことで、昨年夏ごろから鉄道利用者は目に見えて増えてきた。政府は5月8日、新型コロナの感染法上の分類を「5類」に引き下げて行動制限を解除しており、今年度はどの程度、平時の社会経済活動に戻れるかが焦点となる。その道筋を占う観点から、昨年度の業績の推移を見ていきたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

JR東日本の不動産・ホテル事業は
コロナ前を上回るまでに回復

 JR東日本は売上高約2兆4055億円で営業利益約1406億円、経常利益約1109億円、純利益が約992億円だった。業績予想は売上高2兆4530億円、営業利益1530億円、経常利益980億円、純利益約600億円であり、売上高と営業利益は予想を下回ったが、持分法投資利益が増加したことなどにより経常利益は上回った。

 コロナ前の2018年度比(以下同)では、売上高は80%、営業利益は29%、経常利益は25%、純利益は34%の水準だが、4期ぶりにフリーキャッシュフローがプラスに転換するなど、平時への復帰の第一歩ということだろう。