東京駅のホームに入線する東北新幹線はやぶさPhoto:PIXTA

JR東日本・西日本・東海・九州の上場4社が中間決算を発表した。7月から9月にかけて過去最大の感染者数を記録したコロナ第7波が直撃した中、全社が最終黒字となった。コロナ禍による業績低下はいよいよ底を打ったとみられる。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

JR東日本の業績回復の
主役となった新幹線

 具体的な数字を見ていこう。JR東日本は上期(4~9月)に約396億円の経常利益、約271億円の最終黒字を計上した。第2四半期(7~9月)だけ見ても約136億円の経常黒字、約82億円の最終黒字だった。

 コロナ前の2019年度上期は約2720億円の経常黒字、約1885億円の最終黒字だったことを考えると形ばかりの黒字化ではあるが、昨年度上期が約1362億円の経常赤字、約1452億円の純損失であることと比べれば、劇的な回復と言えるだろう。

 業績回復の主役は新幹線だ。新幹線を含む定期外・中長距離利用の鉄道営業収入は、第1四半期(4~6月)が対前年度同期約213%、第2四半期が同約198%と倍増し、上期合計では同約836億円増の約1893億円だった。コロナ前の2018年度との比較では、第1四半期が同約61%、第2四半期が同約63%で、第7波のピークだった8月でも、同約55%と踏みとどまった。

 定期については第1四半期が対前年度約107%、第2四半期が同約106%と微増だった。これはコロナ前の8割の水準で、2020年からほとんど変わっていない。つまりリモートワークなどの定着により、定期の利用はこのまま戻らないと見るべきだろう。

 定期外・短距離利用は第1四半期が同約131%、第2四半期が同約128%で、コロナ前の概ね8割強の水準となった。2020年度は6割弱、2021年度は7割強だったので順調に回復していることが分かる。

 JR東日本は今年度末時点で、定期外・関東圏在来線利用がコロナ前の95%、定期外・新幹線利用が90%まで回復すると見ている。回復基調は鮮明とはいえ、特に新幹線についてはかなり強気の見通しのようにも思えるが、どうなるだろうか。