節税効果大の「住宅ローン控除」で、絶対見落としてはいけない6条件写真はイメージです Photo:PIXTA

住宅ローンの償還期間や床面積、築年数などにより、節税効果の高い税金の特例を受けられなくなるケースがある。税制改正を受けて2023年から控除の仕組みや利用条件が変わっているため、事前の確認が不可欠だ。(元国税専門官 小林義崇)

住宅ローンを組むときに、考えるべきポイント
夫婦でペアローン組んだら“贈与税”に注意

 家を購入(新築する場合も含む、以下同)するとき、考えるべきことがあります。所得税の税額控除のひとつ、「住宅借入金等特別控除」(以下、住宅ローン控除)です。

 これは基本的には「年末時点の住宅ローン残高の0.7%分の節税効果を、最大13年にわたって受けられる」と理解してください(入居年などによって控除額の計算式や、控除できる年数が若干違います)。また、中古住宅(既存住宅)の場合は控除できる期間が10年となりますが、不動産会社が買い取って再販した中古住宅(買取再販住宅)の場合は、期間が13年に延びます。

 この住宅ローン控除の節税効果を高める方法がいくつかあります。

 ひとつが、省エネ性能が高い住宅を購入することで、控除額の上限を上げる方法です。たとえば2023年中に新居を建てて入居した場合、省エネ性能が低いと住宅ローン控除の金額は、年間最大21万円です。ところが、建てる住宅が長期優良住宅・低炭素住宅であれば、控除額は年間35万円に増えます。

 入居する年を早めることもポイントです。新築住宅や買取再販住宅の場合、2023年までに入居したほうが、2024~2025年に入居するよりも控除額の上限が高くなります(最後のページで図にまとめています)。特に、省エネ基準を満たさない住宅を取得する場合、2024年以降は控除額がゼロになりますので、注意してください。

 また、夫婦でペアローンを組むという方法も効果的です。住宅ローン控除は個人単位で申請できるため、ペアローンを組めば、それぞれ節税メリットを受けることが可能です。たとえば夫だけであれば年間の控除上限額が35万円でも、夫婦共有なら合わせて70万円までの控除を受けることができます。

 ただし、このときに注意すべきことがあります。それは、「物件の名義とローンの負担者を合わせる」ということ。たとえば夫婦共有で自宅を購入してペアローンを組んだとしましょう。その後、妻が仕事を辞めるなどしてローンを全額夫が負担するとなると、「夫にローンを肩代わりしてもらった」という形になります。この場合、妻に贈与税が課せられる可能性があるのです。

 このように住宅ローン控除はぜひとも活用したい有利な制度ですが、利用するには複数の条件を満たす必要があります。条件のなかでも特に気を付けておきたいものを見ていきましょう。