ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長 Photo:NurPhoto/gettyimages

孫正義氏が事業創造のための発想術に「アイデア掛け算」なるものを使ってきたのをご存じだろうか。誰でもまねできるシンプルな手法で、かつ今ならChatGPTで超効率的にできる。実際の質問と回答(最初の10パターン)を紹介しよう。(トライオン代表取締役 三木雄信)

孫正義の「危機を突破する発想術」
ChatGPTで超効率的にまねできる!

 前回の記事、『孫正義氏の元側近は「大赤字」ソフトバンクの再起を確信、20年前の復活劇と酷似』では、孫正義氏の基本戦略である、変化の中で生き残った“最終武器”を軸に、次の時代に“一点突破”を図る作戦について解説しました。

 今回は、孫氏の「危機突破術」の一つを紹介します。それは、「アイデア掛け算」です。

 このアイデア掛け算というネーミングは、かつてソフトバンク社長室長を務めていた私が名付けたものですが、孫氏が実際に行っていた、事業創造のための発想術です。孫氏のアメリカ出張に同行した際に、孫氏の母校であるUCバークレーの構内を散歩しながら直接聞いた話です。

 アイデア掛け算の方法は簡単です。基本は、「キーワード」と「プロダクトやサービス」を掛け合わせます。例えば、携帯電話は「携帯」することと「電話」の掛け算でできた単語で、「携帯」×「電話」=「携帯電話」と解釈できます。

 まず、最初のポイントは、プロダクトやサービスの特徴を示すキーワードを大量に出すことです。キーワードは、そのプロダクトやサービスを形容する言葉になることが多いと思います。孫氏は、自分自身でキーワードをカードに書き留めていました。

 次に、プロダクトやサービスを考えます。自社の既存プロダクトやサービスでもいいですし、今後進出したい分野やマーケットで考えるのもOKです。

 キーワードもプロダクトやサービスについても、あまり深く考えすぎる必要はありません。この段階では、とにかく数を出すことに注力しましょう。

 これらの作業をするために、孫氏はかつて、UCバークレーにあったコンピューターにキーワードとプロダクトやサービスを入れ、自動的に組み合わせを出すプログラムを運用していたそうです。

 このアイデア掛け算という発想術を、私もまねしてきましたし、周りの人にも勧めてきました。長らく、キーワードは、インターネットでヒット商品を検索して探していました。が、最近、ある画期的なやり方に気づきました。

 実は、アイデア掛け算にはChatGPTがとても便利なのです。キーワードを探す作業こそChatGPTの得意分野であり、もう自分でキーワードを探さなくても、ChatGPTが探してくれます。

 また、プロダクトやサービスについては、自社が属する業界、あるいは販売経路、または自社名でスコープを指定するとうまくいきます。その他にも質問する際の工夫が多少必要ですが、何回か試してみると、すんなりいきます。

 実際、次のような質問をすると、いくつもの回答をChatGPTは出してくれました。とても興味深いので、最初の10パターンをご紹介します。

【ChatGPTへの質問】
2020年に日本で検索件数の多い商品で、商品名やキャッチコピーに使われているキーワードと家電量販店で売られている商品一つずつの組み合わせで、面白い商品案を100個作ってください。