狭量な世界に生きていては、アウトプットも狭量になる
世界との間で想像以上にリテラシーギャップが広がっており、その結果として狭量な(Narrow)見方で物事を理解してしまっているという現実がある。ここでのポイントは、リテラシーギャップは語学力の問題というよりは、「知らないことを知らない」「世の中の変化に気づかない」「仕組みを知らない」ことである。
カードゲームの代表格であるポーカーにまつわる名言に「誰がカモかわからない時は、自分がカモられている」というものがある。これは言い方を変えると、「知らないことを知らない」世界に身を置いていると身ぐるみはがされるということだ。
経営に当てはめると、狭いリテラシーで判断を下してしまうことになる。世の中では、D&I(注3)やSDGsなどの経営ワードが溢れかえっているが、日本なりのD&IやSDGsを語っていると、「化石」や「ガラパゴス」な状態になってしまう可能性がある。変化を語っても、狭量な世界に生きているようでは、出てくるものも狭量なのである。
注3:Diversity & Inclusion。それぞれ「多様性」「受容」を意味し、ビジネスにおいては企業や組織で働く人材が、性別、国籍、人種といった属性にかかわらず尊重され、それぞれの能力を発揮できるような環境づくりを目指すこと
その結果、何が起きるか。手持ちの情報や自己都合で物事を見て、判断が先鋭化してしまう。ここでのポイントは、当事者は一生懸命頑張っているのに、考え方が硬直化してしまうことだ。当事者は、信じ切っている道を、悪気もなく邁進している。思考はロジカルになり戦略の精度が高まるにもかかわらず、何かがズレてしまうのである。ロジカルかつ戦略的な思考に則っているはずだが、世界の「常識」からは乖離してしまう。そしてガラパゴス化とズレは加速する。
このような状況下でできることは何か。まずは大それたことではなく、リテラシーギャップの認知から始めることである。それは不都合な真実と向き合うことになるかもしれない。仕組みや会社組織、戦略論も大事だが、まずは情報収集を堅実に進めることが近道だ。