「難しそう、面倒くさそう」「豆の種類が多すぎて選べない」「好みの味となんだか違う」そんな人でも完璧に手順がわかり、自宅で美味しくドリップコーヒーが淹れられる最強メソッドを、『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』の著者でもある井崎英典氏が大公開。
この記事では本書を再構成して、美味しいコーヒーの淹れ方のポイントを特別にお届けします(構成:編集部)。

井崎英典(ワールド・バリスタ・チャンピオン)Photo: 京嶋良太

初心者がつまずく「豆の選び方」

コーヒーの初心者にとって、自宅で美味しいドリップコーヒーを淹れたいと思ったら、最初の壁は豆選びかもしれません。

コーヒー専門店に行っても種類が多すぎでわからない、ガイド本を読んでも複雑すぎてますますわからなくなってしまった……。

そうした声をよく聞きます。そんなときは、まずコーヒー豆の生産国をチェックし、エリア別の味わいの特徴をざっくり知ることがおすすめです。

4つの味わいから「自分好み」がスッキリわかる

一方で、コーヒーショップで売れられている豆の表示も、フローラル、チョコレート、オレンジなどフレーバーで味わいを表現する傾向があり、困惑する人も多いのではないでしょうか。

最初からフレーバーで捉えるのではなく「味わい」で捉えることが、自分好みの味を知る上では近道です。

味わいは「酸味と苦味」(横軸)、「濃度の高低」(縦軸)で考え、その豆が①「キレ」②「コク」③「スッキリ」④「まろやか」の4象限のどのあたりに位置するかで捉えてみてください。

① キレ:濃度(高)×酸味
② コク:濃度(高)×苦味
③ スッキリ:濃度(低)×酸味
④ まろやか:濃度(低)×苦味

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4つのエリアでわかる「味わい」の特徴

そして、この味わいの分類に対応して、世界の代表的な生産エリアを分類してみます。

なお、コーヒーの味わいはテロワール(その土地固有の生育環境)、マイクロ・クライメイト(微細気候)、品種、生産処理、焙煎、抽出など複雑な工程を経て作り出されるので、国ごとやエリアごとに厳密に分類することは本来不可能です。

でも、それでは初心者にとっては複雑すぎると思いますので、以下のような分類を参考にしてみてください。

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アフリカ(エチオピア・ケニアなど)

特徴:【キレ】「芳醇で濃厚な香りと際立つ酸味」
エレガントでフルーティーな香りと酸味を楽しみたいときにおすすめです。

東南アジア(インドネシアなど)

特徴:【コク】「ボディと苦味の重厚な風味」
深煎りにも適しており、ガツンとした苦味とコク、エキゾチックな香りを楽しみたいときにおすすめです。

中米(パナマ・グアテマラなど)

特徴:【キレ・スッキリ】「軽やかで爽やかな酸味とフルーティー感」
軽やかな味わいや柑橘系の爽やかな酸味は中米の大きな特徴。酸味に伴うフルーティーさを味わう絶好の栽培エリアです。

南米(ブラジル・コロンビアなど)

特徴:【バランス】「甘さと酸味のバランス」
ブラジルのコーヒーはバランスの良い味わい、酸味は穏やかで丸みのある味わいが特徴的。コロンビアは、軽やかな酸味と甘味のバランスが絶妙な味わいです。

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自宅で「世界一美味しいコーヒー」を淹れる!

まずは、コーヒーショップで気になった豆がどこの国・エリアで生産されたものかをチェックしてみましょう。

そして、自分の好みの味わいが、香りや酸味の強い「キレ」のあるアフリカの豆か、軽やかでフルーティー感のある「キレ・スッキリ」中米の豆か、苦味や重厚さの「コク」が強い東南アジアの豆か、あるいは甘さと酸味の「バランス」が取れた南米の豆かなどを把握しましょう。

美味しいコーヒーを淹れるには、何よりまず「自分好みの味」を知ることから始まります。そのためには、好みの味が「キレ」「コク」「スッキリ」「まろやか」の4象限のうちどのあたりに位置付けられるかを理解し、それに合わせた生産国の豆を購入することです。

トライ&エラーを繰り返しながら、自分好みの「世界一美味しいコーヒー」を探す旅に出かけましょう。