日々の忙しさ、焦り、不安……などからメンタル不調に陥る人は多い。そんなときに必要なのはメンタルを鍛えることより、ありのまま自分を受け入れる「自己認識」や「自己感受」の習慣である。その最もシンプルな実践が「書くこと」だ。
そこで、『書く瞑想――1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』の著者で、5万人以上を変えた習慣化のプロ・古川武士氏が、読者から寄せられた悩みや疑問にお答えしながら、「書くこと」で心を整え、自分を回復するコツを紹介していく。

【忙しい人へ】焦りと不安だらけな毎日が一変する「整える習慣」Photo: Adobe Stock

生活リズムを整える習慣とは?

[質問]
仕事と家庭の両立が難しく、メンタルのバランスを取りにくいです。どのような習慣を取り入れると、バランスが良くなりますか? 日々、焦りや不安を感じ、心が休まりません。生活リズムを整えるにはどうすればいいでしょうか?

まず「理想の生活リズム」を思い描く

[回答]
日々忙しいビジネスパーソンは多いと思います。特に小さな子どもがいる人は、学校行事、習い事、食事、入浴、寝かしつけなどで時間を取られるでしょう。

仕事では、管理職は組織の重要な仕事を任され、部下の面倒も見なければならず、心労も大きいと思います。

習慣化のプロとしてアドバイスするなら、多忙な生活の中で、一定のルール理想の生活リズムを思い描いておくことをお勧めします。

「良いリズムの日」と「悪いリズムの日」は何が違うのか?

自分にとって良いリズムで1日が回る人と、逆に最悪と言っていいぐらい悪いリズムの1日があるとき、何が起きているのでしょうか?

上りエスカレーターに乗るか下りエスカレーターに乗るかは、ちょっとした選択の違いです。正しい選択をして生活リズムを整えるには、自分なりの小さなルール、規律、センターピンと呼べるものを見つけて、そこに集中することです。

そのために、以下の2つをやってみましょう。

自分の「標準スケジュール」を数パターン把握する

① 標準スケジュールを書き出してみる

Aプラン:最も多い基本型
Bプラン:イレギュラーとして週に数回起きる応用型1
Cプラン:休日、出張、トラブル発生時などの応用系2

1日の標準スケジュールを数パターン把握しておくことです。その通り行う必要はありません。あくまでスケジュールに入れたときのパターンを認識することがポイントです。

その上で、睡眠時間、子どもを迎えに行く時間、料理する時間、持ち帰った仕事をする時間など、プランごとの「優先順位」を決めておきます。すると、例えば自分の時間や睡眠時間を確保できるでしょう。

ここが極端に少なかったりすると、精神的にも体力的にも辛く、気持ちも低下。イライラを子どもや配偶者にぶつけてしまい、自己嫌悪になっていくサイクルが予想されます。

よって、プランに応じてどこで仕事を切り上げる必要があるのか、何にどれだけ時間をかけるのか、子どものお風呂は夫婦どちらが入れるのか、歯磨きはどうするか、何時までに寝かしつけをするのかなどの目安を決めておくことです。標準値があれば、その通りできなくてもズレを修正できます。

「3つの時間」の配分を決める

② 仕事、家族、自分の時間をどのように配分するか考える

さらに上記のプランごとに、3つの要素の時間を盛り込めるといいでしょう。それは、「仕事」「家族」「自分」の時間です。

1日単位では難しくても1週間単位では、それぞれのニーズを満たしてください。たとえば、「仕事4:家族5:自分1」だとします。

「自分1」は、英語の勉強がしたいとすると、平日は難しい。その分、土日の午前中は集中して自分の時間を取るという具合です。

また、ある男性は「仕事6:家族3:自分1」にしたとします。家族との3の時間は優先して確保しないと、残業に次ぐ残業で家族との時間はなくなっていきます。

このように、理想の時間配分や規律を書き出してみると、何を大切にしたいのかがわかります。

書き出して「理想と現実のギャップ」を認識する

ただし、実行するにあたり、注意点は、立てたスケジュール通りにやらなければ0点という完璧主義思考に陥らないことです。

あくまで、書き出すことで自分の理想と現実を知り、どんな習慣リズムをつくると全体が良くなるかを考えるのです。

『書く瞑想』では、「マンスリージャーナリング」という月1回行う振り返り作業で、理想と現実の時間ギャップを埋める習慣化プランニングの方法を紹介していますが、理想と現実のスケジュールを見える化して認識することが、生活リズムを整える第一歩です。