不安や悩みをノートに書き出して、鬱々とした気持ちや頭の混乱をスッキリ整理する――。こうした手法はこれまでジャーナリング、モーニングページ、バレットジャーナル、ブレインダンプ……などとして数多く紹介されてきました。
でも、正しいやり方がわからない、書く時間が取れない、続かないといった声もよく耳にします。そこで、『書く瞑想――1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』の著者で、5万人以上を変えた習慣化のプロ・古川武士氏が、読者から寄せられた悩みや疑問にお答えしながら、「書く瞑想」のコツについてご紹介していきます。

【習慣化のプロが薦める】簡単なのにメンタルが瞬時に整う奇跡の習慣Photo: Adobe Stock

なぜ、書くと気持ちが整理されるのでしょうか?

[質問]
 はじめまして。質問です。ワーキングマザーで、毎日、仕事と育児で忙殺されており、目まぐるしい日々に、気持ちが乱れております。

 子どもは可愛いのですが、イライラすることが多く、こころがざわついています。こんな私にも書くことは効果がありますでしょうか? また、時間がない中で書くことが継続するかどうかも不安です。

「1日15分」だけ、自分の心とつながってみる

[回答]
「書く瞑想」を実践されている、ワーキングマザーの方はすごく多いです。慌ただしい日々だからこそ、自分の気持ちに向き合うツールとして実践されているようです。

「書く瞑想」は、時間に余裕がなく、やることに追われて、感情が揺れ動きやすい方には特にオススメです。

 その最大の気持ちの整理の効果は、「瞑想的効果」です。15分、ペンと紙を持って、手書きで書いてみてください。

 まず、手書きの良さは、その没頭感にあります。100%集中できると、人は、今の自分につながることができます。慌ただしい毎日の中で、マインドレスになっている時間がずっと続いています。

 1日のたった1%の時間、15分をマインドフルになって自分につながるだけで、心の表面で揺れている気持ちから離れることができます。

自分と距離を取り、客観的に眺めてみる

 もう1つ効果を上げるとすると、「メタ認知効果」です。

 メタ認知とは、俯瞰して自分の気持ちを客観視して見るということです。私たちは、日常、自分という主人公を生きていますが、書き出すと、自分を第三者的に見ることができます。

 自分の気持ちや日常を言語化することで、距離ができる。その距離ができることで、視座が上がり、捉え方が変わります。

「放電」で心を浄化する

 私が提唱している「書く瞑想」では、放電(気持ちを下げた出来事とその心の声)と充電(気持ちを上げた出来事とその心の声)を書きます。

 放電として、イライラ、不安、心配、焦り、自己嫌悪、後悔を生み出した出来事を書くと、思っている以上に大した量がないか、大したことではないことに気づきます。書くことで浄化されていくことも実感されるでしょう。

「充電」で今ある充実感をしっかり味わう

 次に、充電を書くこと。人は、できなかったこと、失敗したこと、イライラしたことなどは印象強く覚えており、逆に、できたこと、うまくいったこと、嬉しかったことのインパクトは薄くなりがちです(心理学では、ツァイガルニク効果という)。

 よって、些細なグッド、ハッピー、感謝!をあえて書くことで、薄くなっていた、もしくは印象の底に眠っていきそうだった出来事と感情を強く感じることができます。

 充電を書くことは、今、すでにある充実をしっかり味わうことに効果があります。

 1分、1秒が惜しい、15分という時間すらも惜しいという人こそ、書いていただくことをお勧めします。時間感覚が変わり、日々の気持ちの揺れや乱れが整っていくでしょう。