書くと不安がなくなる。自分自身が整理される。そう経験的に感じている人も多いだろう。だが、それはなぜか、どういう書き方が効果的なのかを知っている人は少ない。不安な時代こそ、知識やスキルを焦って付け足すのではなく、自分を深く知ることが大切だ。答えを自分の外にではなく、内に見出すこと。そのために有効なのが「書く」ことだ。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、人気の「ジャーナリング」「モーニングページ」などの効能を踏まえて「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。(初出:2022年1月15日)

【ノートで自分整理】あれこれ考えない。呼吸するように書く4つのコツ【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

芋づる式に呼吸するように書く

 自分と向き合うためには、無意識的に、連想的に、つぶやくように独り言、つまり「セルフトーク」を書いていきます。

 セルフトークは箇条書きで出すログのように網羅的に書くのではなく、1つの出来事や感情から「深く対話」していくことがポイントです。

 こうすることで、表面的な気分や感情ではなく、より深層の感情に気づけます。広く、浅くではなく1つの感情や出来事を深掘りしていくことで自己対話していけるのです。

 セルフトークについては、書き方が難しい部分があるので、書き出す上でのポイントを4つ書いておきます。

ポイント1:今の自分の心につながる

 日々、悩みや感情は刻々と変化するものです。

 まずは今、自分が何を感じているのかだけに心を集中して対話をします。

 1分の瞑想タイムを設けてからスタートするといいでしょう。

ポイント2:深い感情を1つのテーマに出す

 ここで大切なことは、適当な感情ではなく「今、一番」心を占めている感情にフォーカスして対話をすることです。

 まずは「1つの感情」をテーマに引き出すことです。ここから湧き上がってくる言葉が本音への気づきの入り口になります。

放電感情の例
不安、焦り、退屈、恐怖、つらい、嫌われる、迷い、心配、イライラ、嫉妬、恨み、拒絶される、怒り、寂しさ、自己嫌悪、無力感、空虚感、閉塞感、不満、不信感、疲れ、だるい、面倒くさい
充電感情の例
達成感、楽しさ、嬉しさ、愛、温かさ、つながり、感謝、認められる、助けられる、挑戦する、貢献する、ワクワクする、癒される、自信、安心、自由、爽快さ、スッキリ感

ポイント3:芋づる式に感情から感情を出していく

 言葉が言葉を呼ぶセルフトークの対話を象徴的に言い表すならば、「芋づる式」です。直感的に湧いてきた感情や言葉を起点に書いていくことです。

 感じるままに、心の出す言葉に逆らわずにどんどん出していきましょう。芋づる式、連想的に書くことはすでに述べましたが、別の例で見ていきましょう。

今日は焦りが強かった。なんでだろう? やらないといけないToDoが終わっていないということもあるけど、一番は××の報告書が提出できていなくて、Aさんから厳しい催促が来ることを怖がっているんだな。そうだ、この催促が怖いんだな。ならば、Aさんに連絡して、いつまでに出すと言っておけばいいのかも。

 このように書くと、「ぼんやりとした感情」が因数分解されていき、真因にたどり着くことで対策も見えてきます。

 このケースの場合、その感情を生み出しているのは「焦り」というより、Aさんからの「催促の恐れ」だったのです。

 感情の震源地が明確になってしまえば、対処法は単純です。

 もしこれを書かずに「ぼんやりとした焦り」で止まっていると、同じところをぐるぐるしたままで、ただ焦りという感情に精神が疲弊していくのです。

ポイント4:その感情が生まれる理由を思いつくままに書く

 自己対話を繰り返すには、「今、どんな気持ちだろう?」「その裏にあるものは何だろう?」「本当は何が嫌なのだろう?」と対話をしながら、答えを重ねるように書くといいでしょう。

 あれこれ考えず書くことです。

 連想的に言葉が浮かぶままに書くことが大切で、頭で書くのではなく、心で書くことを意識して出していきましょう。

(本原稿は、『書く瞑想 1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)