心の毒はたまり過ぎてしまうと、うつ病やパニック障害、自律神経失調症など、心の病気を引き起こすことに繋がる(写真はイメージです) Photo:PIXTA
梅雨に入り、なんだか疲れがとれない……、気分が重い……。理由はよくわからないけれど、なんとなく不調を感じている人は多いのではないでしょうか。その原因は、無意識のうちに心や体にため込んでしまった「毒」のせいかもしれません。工藤内科院長で内科医・漢方医の工藤孝文さんの『専門家がしっかり教える 健康図解 毒出し』(日本文芸社)より、なにげない習慣が生む「心の毒」をチェックしてみましょう。
あらゆる不調の原因となる
「心の毒」って何?
●命に関わるダメージになることも!?
人間関係がうまくいかない、仕事での責任が重い、将来が不安……。現代社会を生きるうえで、ほとんどの人がストレスや悩みなどを抱えているのではないでしょうか。ストレスはあってあたりまえ、周りの人も同じような悩みを抱えているから、などと放置してしまうと、これらはやがて「心の毒」となって蓄積されてしまいます。
心の毒はたまり過ぎてしまうと、うつ病やパニック障害、自律神経失調症など、心の病気を引き起こすことに繋がります。また、免疫力や自己治癒力を低下させ、ひどい場合には、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、がんなど、命に関わる大病を招く可能性も。日頃から心の毒を出し、心の健康を守ることは非常に重要なことなのです。
ただ、心の毒の厄介なところは、たまっているのに気がつかないケースが多いこと。心の毒をため込んでいる自覚のないまま不調を引き起こしてしまうのです。このような事態にならないためにも、ストレスを受けると表れる、肩がこる、眠れない、気分が落ち込むといった、様々なサインを見落とさないようにしましょう。
心の毒のもと、「ストレス」で
体調が悪くなる理由
●ストレスは命を守る大切な体の機能
ストレスが心の毒となり、心身にダメージを与えるのなら、なぜ体にはストレスを感じる仕組みが備わっているのでしょうか。
今から数万年前、私たちの祖先は狩猟や採集をして暮らしていました。敵と出会った瞬間には、命がけで戦ったり必死に逃げたりすることも。その際、素早く体を動かせるよう心拍数や血圧を急上昇させ、筋肉や脳の血流を増やす必要があったのです。これが「ストレス反応」。現代の私たちが恐怖や不安を感じたとき、頭に血がのぼったり胸がドキドキしたりするのは、原始時代を生き抜くために獲得した大切な体の機能だったのです。
しかし、命の危機に直面することがほとんどなくなった現代において、過度なストレスはむしろ心の毒となって不調を生み出しています。その1つが自律神経のバランスの乱れ。血流が滞り、頭痛や腰痛などを引き起こします。また、めまいや腹痛、睡眠障害などの症状が表れる場合も。
このように、解消できずに長く続くストレスは不調を引き起こすこととなり、蓄積すればするほど見過ごせない大きなダメージとなっていくのです。
心と体を繋ぐ
自律神経とは
●生命維持のため24時間働く自律神経
私たちの体にある無数の神経は、大きく中枢神経と末梢神経に分けることができます。
中枢神経は脳と脊髄で構成され、全身に指令を送る神経系統の中心的役割を担います。一方、末梢神経は、体中に張り巡らされた情報伝達のネットワークで、自分の意思でコントロール可能な体性神経(運動神経・感覚神経)と、私たちの意思に関係なく働き続けている自律神経があります。中枢からの指令を伝えて筋肉を動かす運動神経や、目・耳・鼻・皮膚などがとらえた感覚を中枢に伝える感覚神経に比べると、自律神経はイメージしにくいかもしれません。でも、目覚めているときも寝ている間も呼吸や心臓が止まることなく動き、血液がスムーズに流れ、消化吸収や体温調節が行われているのは、24時間365日休まず働いている自律神経のおかげです。
アクセル役の交感神経とブレーキ役の副交感神経からなる自律神経は、交感神経が優位になると体は活動・緊張状態に。逆に、副交感神経が優位になると休息・リラックス状態になります。つまり、交感神経と副交感神経がバランスよく働くことによって、心と体の健康が保たれているのです。
ストレスで起こる
「自律神経失調症」
●検査をしても原因が見つからない
内臓の動きや血液の流れをはじめ、生命を維持するために欠かせない働きを制御している自律神経。先にお伝えした通り、私たちの意思とは関係なく働いていますが、不規則な生活やホルモンの変化、肉体的・精神的ストレスなどによって、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまいます。
例えば、人間関係や仕事での悩み、不安、プレッシャーなどでストレスを受けると、交感神経が優位になります。すると、血管が収縮して血流が滞り、血液がドロドロの状態に。体には、頭痛やめまい、肩こり、腰痛、倦怠感、冷え、腸の働きの低下による便秘や下痢、肌荒れといった不調が表れます。また、ちょっとしたことにイラつく、落ち込む、やる気が出ない、記憶力や集中力が低下するなど、メンタル面にも影響が出てきます。
自律神経の乱れによって起きる様々な症状は、自律神経失調症と呼ばれています。症状から疑われる病気に関する検査をしても、異常が見つからないのも特徴の1つ。改善には、ストレスの緩和をはじめ、睡眠不足や運動不足の解消など、ライフスタイルを見直すことがとても大切です。
乱れやすい
現代人のホルモンバランス
●ホルモンはわずかな量で働く潤滑油
体内環境を維持するために欠かすことのできない自律神経ですが、もう1つ忘れてはならないのが「ホルモン」です。瞬時に反応する自律神経とは違い、ホルモンは血液によって運ばれながらゆっくりと働きます。体のあらゆる場所から分泌される物質で、現在わかっているだけでも100種類以上あります。
例えば、腸と脳から分泌されるセロトニンには、心を安定させる、自律神経のバランスや腸内環境を整える、過食を防ぐなどの役割があります。ストレスを軽減してリラックスさせてくれるホルモンで、別名「幸せホルモン」とも。朝、太陽の光を浴びると分泌されますが、ストレスが続くと減少。セロトニンが不足したままだと、うつや不安障害、睡眠障害になることがあります。








