心の毒のもと、「ストレス」で
体調が悪くなる理由
●ストレスは命を守る大切な体の機能
ストレスが心の毒となり、心身にダメージを与えるのなら、なぜ体にはストレスを感じる仕組みが備わっているのでしょうか。
今から数万年前、私たちの祖先は狩猟や採集をして暮らしていました。敵と出会った瞬間には、命がけで戦ったり必死に逃げたりすることも。その際、素早く体を動かせるよう心拍数や血圧を急上昇させ、筋肉や脳の血流を増やす必要があったのです。これが「ストレス反応」。現代の私たちが恐怖や不安を感じたとき、頭に血がのぼったり胸がドキドキしたりするのは、原始時代を生き抜くために獲得した大切な体の機能だったのです。
しかし、命の危機に直面することがほとんどなくなった現代において、過度なストレスはむしろ心の毒となって不調を生み出しています。その1つが自律神経のバランスの乱れ。血流が滞り、頭痛や腰痛などを引き起こします。また、めまいや腹痛、睡眠障害などの症状が表れる場合も。
このように、解消できずに長く続くストレスは不調を引き起こすこととなり、蓄積すればするほど見過ごせない大きなダメージとなっていくのです。
心と体を繋ぐ
自律神経とは
●生命維持のため24時間働く自律神経
私たちの体にある無数の神経は、大きく中枢神経と末梢神経に分けることができます。
中枢神経は脳と脊髄で構成され、全身に指令を送る神経系統の中心的役割を担います。一方、末梢神経は、体中に張り巡らされた情報伝達のネットワークで、自分の意思でコントロール可能な体性神経(運動神経・感覚神経)と、私たちの意思に関係なく働き続けている自律神経があります。中枢からの指令を伝えて筋肉を動かす運動神経や、目・耳・鼻・皮膚などがとらえた感覚を中枢に伝える感覚神経に比べると、自律神経はイメージしにくいかもしれません。でも、目覚めているときも寝ている間も呼吸や心臓が止まることなく動き、血液がスムーズに流れ、消化吸収や体温調節が行われているのは、24時間365日休まず働いている自律神経のおかげです。