「努力できる人とできない人は、“能力”が異なるのではなく“考え方”が異なる」そう述べるのは『頭のいい人が話す前に考えていること』の安達裕哉氏だ。「成功した人」「仕事のできる人」はみな努力している。しかし、努力すれば成功するわけではない。では、どうすればいいのか? 本記事はコンサル22年の知見を凝縮した書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』に入りきらなかった、“頭のいい人の努力の仕方”について記述する。

頭のいい人が話す前に考えていることPhoto: Adobe Stock

努力は成功のための前提条件

 コンサルタントとして数々の「仕事のできる人たち」に会ってきたが、彼ら彼女らは、ほぼ例外なく努力をしていた。

 無論、努力をしたからといって成功するわけではない。だが、努力なくして成功はない。努力は成功のための前提条件であり、要件である。

 だが、「努力が苦手」という人は少なからずいる。

 頑張れない、続けられない、「どうしたら努力できるか?」と悩む方も大勢いるだろう。

 マネジメントに携わっていて部下に「もっと努力してほしいけど、してくれない」と思っている人もいるかもしれない。

 

 私は、数々のコンサルティングの現場で数多くの「努力できる人」と「努力できない人」を見聞きする中で、両者は一体何が違うのかということに強い関心を持った。

 その結果、努力できる人とできない人は、「能力」が異なるのではなく「考え方」が異なるのだという結論に至った。

 実際、ビジネスの現場で、長い目で見て、結果を出していたのは、努力を続ける人たちだった。

 では、その「考え方」のちがいはどこにあるのか。

「努力を続けられる人」「努力できない人」の6つの考え方の違いを紹介しよう。

1.努力とは、精神論でなく、方法論である

 努力を続けられる人は、「とにかく頑張ろう」とするのではなく、「どうやって楽に継続できるか」を考える。

 良い意味で、自分を信用していないので、努力を仕組み化する。

 つまり、結果を出し続けられる人は、ちゃんと考えて努力するのだ。絶対にやみくもに努力しない。

 簡単な例を出すと、「会社帰りに家に帰らず、カフェでマーケティングの本を10ページ毎日必ず読む」など、継続できるためのルーチンを作る。

 やみくもに努力する人は、短期的には結果がでるかもしれないが、長続きしない。これは、決して頭のいい努力とは言えないのだ。

 頭のいい人は、努力を仕組み化する。努力を仕組み化できる人は、結果を出し続け、出世する。つまり、部下を持つ。

 部下にも、努力の精神論ではなく、方法論を語るので、部下も努力を続けることができ、結果が出る。いいスパイラルが生まれる。

 逆に言えば、「努力しろ! 頑張れ!」と精神論を押し付ける上司は、危険だ。

 方法論がないので、とにかく頑張るしかない。するといずれ、疲弊する。負のスパイルだ。

 

「努力は精神論ではなく、方法論なんです」という話をすると、

 ときに、こんなことを言う人がいる。

「でも、努力できるかどうかも結局“才能”でしょう?」と。

 しかし、努力できるかどうかは才能ではない。

 努力できるかどうかも才能だもんね、と諦めた方が楽なのかもしれないが、

 努力できるかどうかは、才能ではなく、あるものに依存する。

 そのあるものとは……