早めに起きて余裕をもって出社する、すき間時間に英語の勉強する、仕事帰りにスポーツジムに行く。
4月に「やろう!」と決めた良い習慣も、気づけばやらなくなってしまった…という人は多い。
習慣化のポイントはがんばりすぎないこと。
継続できる人は、実はあらかじめ「挫折しないための工夫」をしているのだと言う。
さっそく、30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、がんばらずに習慣化するための2つの方法について伺いました。
(編集/和田史子)

書籍『20代が仕事で大切にしたいこと』の著者が教える、習慣化という「成功体験」の作り方とは?Photo: Adobe Stock

習慣化の前に立ちはだかるもの

仕事に限らずダイエットや勉強など、あらゆる場面でカギとなるのが「習慣化」です。

以前の記事

①「あたりまえ」をちゃんとやる
②「あたりまえ」を継続する

の2つができる新入社員は周囲から確実に評価される、とお伝えしました。

「朝出社したら元気にあいさつする」という「あたりまえ」の行動を、入社2ヵ月、半年、1年、2年と続けられる人は、実はそれほど多くありません。簡単なことでさえ、習慣化するのはむずかしいものなのです。

習慣化の前に立ちはだかるもの、それは「挫折」です。

挫折しにくくする2つの方法

ささいなきっかけから「今日はできなかった。明日でいいか」となり、2日、3日とやらない日が続き、知らないうちにやめてしまった。ダイエットやマラソン、さまざまなシーンでみなさんも経験があると思います。

このとき、挫折しにくくする方法が2つあります。

1つは、具体的な目標を立てて周囲に宣言すること。
目的がないと続きませんから、とりあえず数値目標を決めましょう。そして、「目標マイナス3キロです!」と周囲に話してしまったら、もう後には引けません。
仲間と一緒に挑戦するのもおすすめです。ジムに行ったらメッセンジャーで報告するなど、ピアプレッシャーを上手に利用して継続力を高めていきます。
どちらも「周囲からのプレッシャー」という状況を、自分を律するために活用するというやり方です。一人でがんばるのはしんどいからこそ、周囲の力を借りてやってしまおうということです。

挫折しにくくするもう1つの方法は、振り返り改善案の実行です。

週3回ジムに通うために「すべきこと」

週3回だと決めていたのに週1回しか行けなかったとします。
その週の週末に「なぜ週1回しか行けなかったのか」失敗要因を探ります。

<振り返り>
・そもそもジムが通勤ルートとは反対の場所にあり、行くのがおっくう
・出かける前にバタバタしてしまい、ウェアの用意を忘れて、行くのをあきらめた

具体的な「失敗要因」を1つずつつぶしていくのです。

<改善策>
・(立地の問題ならば)会社か自宅の最寄り駅にあるジムにする
・(ウェア準備の問題ならば)貸出OKのジムに行く、月額ロッカーを借りる

「駅直結のジムだと、雨の日も傘をささずに直行できるので立ち寄りやすい」
「靴を履き替えないでOKのジムだと、替えの靴がいらないので荷物が少なくてすむ」

自宅から徒歩10分のジム→会社の最寄り駅から徒歩1分のジムに変更
安いけれどウェア持参のジム→少し高くなるがウェアレンタル込みのジムに変更

例えば、このような「改善策」で「面倒だから行くのをやめよう」となるのを防ぐのです。

ほとんどの人は「振り返り」だけで終わっています。
「振り返り」は、ともすると「できない理由探し」になってしまう危険があります。
「だから続かなかったんだ」と、途中でやめてしまうのはもったいないことです。

また、「改善策」を間違えてしまう人もいます。
よくあるのは、「週1回程度だから続かないのだ。週5回にしよう」などと、自分を追い込む・がんばりすぎるケースです。
残念ながら、これは失敗しやすい。がんばる行為は不自然なので、やがて息切れしてしまいます。

続けるためには、ラクにやれる方法を探すこと。
だから「マイナスをつぶす(挫折しないようにする)」改善策がおすすめなのです。

振り返り改善案はセットで。「だったらこうしてみよう」というところまで考え、修正を繰り返し、ラクに習慣化できるよう軌道修正しましょう。継続力がある人は、自然とこの軌道修正をおこなっているはずです。

習慣化の成功体験がある人は
何をやってもうまくいく

一度何かを習慣化できた人は、継続力が身についています。
「習慣化の成功体験」を、さまざまな挑戦に活用し、次々と目標達成します。

例えばどんなに仕事が忙しくても、週3回、通勤前の1時間でスポーツジムに行ってランニングと筋トレして、目標マイナス3キロを実現するとします。

「習慣化の成功体験」のある人は、以前の成功パターンと同じように、今回も淡々とジムに通い続けます。

習慣化→成功→次なる習慣化→成功、のサイクルに入ると、人は加速度的に成長します。

仕事のみならず普段の生活でも成功体験が増えると、自分に自信が持てるようになり、ますます習慣化の成功体験は積み上がっていきます。この好循環にはまると、何をやってもうまくいくようになります。
新しいことに挑戦するときも、「過去にもできたんだから」と自信を持って取り組めるからです。
ぜひみなさんもやってみてください。

(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)

飯塚勇太(いいづか・ゆうた)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。